Pepper、ルンバ、RoBoHoNの担当者が語る「ロボットは味方か脅威か」(1/2 ページ)
「ロボットが人間の脅威となる」この論調はロボットの発達がめざましいという共通認識の裏返しといえるが、実際にロボットを送り出す側はどう考えるのか。Pepper、ルンバ、RoBoHoNの担当者が語るロボット論。
ロボットや人工知能の発達が「人間から仕事を奪う」「脅威となる」――。いままで何回も登場した論調がまた注目を浴びている。それはロボットや人工知能の発達がめざましいという共通認識が醸成されつつあることの裏返しといえるが、実際にロボットや人工知能を送り出す側としてはどのような認識を持っているのだろうか。
「CNET Japan Live 2016」(2016年2月18日 青山ダイヤモンドホール)にて行われたトークセッション「ロボットは味方か脅威か」では、Pepper(ソフトバンク)、ルンバ(セールス・オンデマンド)、RoBoHoN(シャープ)の各サービスロボットを日本市場に送り出す3人がそれぞれの認識を語った。
左からソフトバンクロボティクス 事業推進本部 本部長 吉田健一氏、シャープ コンシューマーエレクトロニクスカンパニー 通信システム事業本部 パーソナル通信第二事業部 第一商品企画部 チームリーダー 景井美帆氏、セールス・オンデマンド 第一事業本部 マーケティング部 取締役/部長 徳丸順一氏
出演者はソフトバンクロボティクス 事業推進本部 本部長 吉田健一氏、シャープ コンシューマーエレクトロニクスカンパニー 通信システム事業本部 パーソナル通信第二事業部 第一商品企画部 チームリーダー 景井美帆氏、セールス・オンデマンド 第一事業本部 マーケティング部 取締役/部長 徳丸順一氏の3氏。モデレーターはDMM.com ロボット事業部 事業部長の岡本康広氏が務めた。
そもそもロボットは浸透しているのか
脅威となるかどうかを論じる前に、そもそもサービスロボットは浸透しているのだろうか。「PCの黎明(れいめい)期みたいな感じ」と現状を語るのは、一般モデルが2015年6月に販売開始されたPepperを手掛けるソフトバンクロボティクスの吉田氏だ。
Pepperの一般モデルについて購入者にヒアリングすると、その目的として「子どもの情操教育」や「ロボットプログラミングに興味がある」といった答えが多く、また、想像以上に高齢者からの反応も良いと、吉田氏はPC黎明(れいめい)期との共通点を挙げる。法人向けモデル(Pepper for Biz)についても、「導入先は500社を超え、販売業務への導入ならば売り上げ15%アップという数値も出ている」と単なる集客以上の効果を発揮していると言う。
浸透という意味ではセールス・オンデマンドの販売するiRobot社製の掃除ロボット「ルンバ」が、徳丸氏によれば2002年の販売開始以来、既に全世界で1400万台を出荷している。iRobot社はルンバのイメージが強いものの、「Dull、Dirty、Danger(退屈、汚い、危険)を機械が請け負う目的遂行型ロボット」に強みを持ち、先日には部門売却によって家庭用ロボットへの注力を発表している。
一方、2016年前半の販売開始を目指して「“ヒトと機械の関係性を変える”をテーマに開発してきた」とRoBoHoNを語るのはシャープの景井氏だ。同社ではRoBoHoNにコミュニケーション要素を多く盛り込むことで持ち歩いてもらうアイテムになることを目指し、通信機能付きロボットではなく、“ロボット型の電話”として訴求する考え。その“コミュニケーション”のためには、ヒト型の形状が最適だという。
目的遂行形のルンバを除くと、多種多彩なサービスを提供する家庭用サービスロボットの浸透(普及)は「兆しは見えるが本格的にはまだ」というのが各者の見解だが、その浸透に必要な要素として3者が異口同音に挙げるのが「ロボットへの親しみ、愛着をいかに生み出すか」だ。
ロボットは機械だが、「自律、成長、感情の3つがあれば生き物として認識してくれる」(吉田氏)、「話しかけてもらうことを重視して、声やせりふにもこだわった」(景井氏)、「自律して動くと愛着を持ってもらえる。あだ名を付け擬人化して扱うのは世界共通」(徳丸氏)と、それが機械であっても生き物のように振る舞うことで、利用者はロボットへ親しみを感じ「機械」として扱わなくなる。
ただ、家庭においてロボットはまだ「異物」の域を出ない。端的にその例を示すのが購入者へのサポートで、「頑丈な家電のように思われるが、Pepperは定期メンテナンスの必要な精密機械。その必要性をどう伝えるかは課題」(吉田氏)、「(掃除ロボット)ココロボの外装交換をしたら、“ウチのココロボちゃんにはここにキズがあった”と利用者に怒られた」(景井氏)など、3者からは家庭におけるサービスロボットをどうサポートしていくか、まだ試行錯誤している様子がうかがえた。
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