Pepper、ルンバ、RoBoHoNの担当者が語る「ロボットは味方か脅威か」(2/2 ページ)
「ロボットが人間の脅威となる」この論調はロボットの発達がめざましいという共通認識の裏返しといえるが、実際にロボットを送り出す側はどう考えるのか。Pepper、ルンバ、RoBoHoNの担当者が語るロボット論。
ロボットは味方か脅威か
「ロボットは人間の味方か脅威か」を論じる前に、「ロボットの普及」という観点では未来をどう予測するか。何らかのかたちで未来にはより多くのロボットが身近な存在になるという見解は3者共通のものだったが、細部は微妙に異なる。
「2020年にはまだだと思うが、近いうちに1家に1台という状況が来ると思う」と吉田氏は述べ、景井氏は「10年先ならロボットはあふれていると思うが、非常にインテリジェントな自動販売機など、ヒト型に限らないと思う」と述べる。
「近いうちに1家に1台」を予想する吉田氏のソフトバンクロボティクスは、Pepperだけで接客する携帯電話ショップ「Pepperだらけの携帯ショップ」を期間限定でオープンする。これは実験的な試みと前置きしながらも、吉田氏は「ロボットや人工知能が人を脅かす(職を奪うような)未来もあり得るだろう」と警鐘を鳴らす。徳丸氏も「中長期的に語れば、脅威と見なせる一面もあるだろう」と同調する。
しかし、「脅威になり得る=排除という考え方・方法は短絡的だ」という意見も参加者で一致する。吉田氏は内燃機関の登場と馬運業の衰退、自動車産業の成立を例に挙げながら「技術の進歩は止められないが、それは予測できるので、対応してその進歩を利用できる。ロボットの進化という変化を、脅威にするかチャンスにするかは自分たち次第ではないか」と持論を展開した。
徳丸氏も「ロボットを活用した未来が築けると思う」と同調し、加えて、ルンバの最新モデル「980」がネットワーク対応したことを挙げながら「全てのロボットがネットワークにつながるとどんな脅威が起こり得るかまだ分からない。脅威を下げる設計や運用を考えていくことが重要になるだろう」と単純にロボットの進化だけではなく、ネットワーク化という観点も考慮すべきだと述べた。
「ロボットの脅威」という言葉からイメージされる具体的な内容が、国や地域で異なることに留意すべきだという意見もあった。米企業iRobotの製品を扱う徳丸氏は「米国で“ロボットの脅威”というと身体的な危険性が連想されるようだが、ヨーロッパでは失業といった社会的な危険性が連想される」と指摘する。
ただ、日本では漫画やアニメの影響か「ロボット=人助けの機械や家族的な存在」というイメージも根強い。RoBoHoNを準備する景井氏は「日本のロボットのイメージを海外にアピールする必要があるのではと思う」と述べ、“ロボットは人間の味方”というイメージの定着こそ、日本発で行うべきだと主張した。
サービスロボットを「産業用ではないロボット」と定義した場合、その数はまだまだ少ない。加えて言えば、「サービスロボット」が指し示す対象すらもまだ不明瞭だ。「(ロボットは)まだ生活に異質な存在」という景井氏の発言は、ロボットの現在地を端的に表す言葉といえるだろう。
普及しておらず、定義も曖昧。しかしながら、だからこそサービスロボットには未来があるともいえる。「PCの普及には20年かかった、ロボットはまだ序の口」(吉田氏)、「利用者と一緒にロボットの世界を作りたい」(景井氏)、「ヒト型ロボットが増えるとは思うが、それ以外の形状が圧倒的に増えるはず。そこを目指すのも一考ではないか」(徳丸氏)。3者はそれぞれに展望を語った。
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