猫が乗っても迷わない、“ルンバ史上最強”「980」は何がスゴいのか:SLAM搭載(1/2 ページ)
ロボット掃除機の代名詞的な存在となった「ルンバ」に最新モデル「980」が追加された。シリーズとして初めて自己位置推定を行う「SLAM」技術を搭載した、ハイエンドモデルの詳細に迫る。猫が乗っても大丈夫。
セールス・オンデマンドは2015年9月29日、同社が日本総代理店を務める米iRobotのロボット掃除機「ルンバ980」について製品発表会を開催した。ルンバシリーズの最上位モデルとして、ナビゲーションシステムを一新、より賢くなったのが特徴だ。価格は13万5000円で、同年10月10日より発売する。
発表会には、セールス・オンデマンド代表取締役社長の室崎肇氏と第一事業本部本部長の池田明広氏が出席し、国内での販売戦略について説明。またiRobotからはCEO兼共同創設者のColin Angle氏とシニアバイスプレジデントのChristian Cerda氏が来日、デモンストレーションを交えながら新製品を紹介した。
980の最大の特徴は、ナビゲーションシステムが「iAdapt 1.0」から「同 2.0」へと進化したことだ。iAdapt 2.0では、ルンバとしては初めて「SLAM」(Simultaneous Localization And Mapping:搭載するセンサーでマッピングと自己位置推定を行う技術)を搭載。フロアのどこに自分がいるのか把握しているので、何度も同じ場所を掃除するような無駄を省くことができる。
SLAMは位置推定とマップ作成を同時に行う技術であり、業務用ロボットではレーザーレンジファインダなどを使って空間を把握することが多いが、問題はレーザーを使った測量システムが高価なこと。そのため980ではレーザーではなく、前方上空を見る小型カメラを搭載。画像から特徴点(机の角など、コントラストの変化が大きい点)を抽出し、位置推定に利用する。
iAdapt 2.0ではさらに、車輪のエンコーダや、底面の「フロアトラッキングセンサー」も併用する。従来モデルはエンコーダのみだったが、エンコーダは車輪の空転で誤差がどんどん蓄積してしまう。980には赤外線のフロアトラッキングセンサーが追加。床を2次元的に確認しているため、この誤差を抑えることができる。
980で採用されているSLAMについて具体的なアルゴリズムなど詳細は不明だが、セールス・オンデマンドの説明員によれば、カメラの画像認識は、主にエンコーダ/フロアトラッキングセンサーによる位置推定の誤差の補正に利用されているようだ。なおマップは掃除を実行するごとに新規に作り直し、記憶はしない。
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