ブラシ同士の縫合などで25%軽量化、ダイソンが新型コードレス掃除機発売:デザインの力
ダイソンは2020年6月22日、従来機種と比べて本体重量を25%軽量化したコードレス掃除機「Dyson Digital Slim」の製品発表会をオンラインで開催した。新開発したクリーナーヘッド部分はブラシ部分の連結方式を工夫したことで、従来製品と比べて40%の軽量化に成功した。
ダイソンは2020年6月22日、新開発したクリーナーヘッドの搭載などで本体重量を軽量化したコードレス掃除機「Dyson Digital Slim」の製品発表会をオンラインで開催した。2019年に同社が発売したコードレス掃除機「Dyson V11」と比較すると本体重量は約25%、クリーナーヘッド部分は約40%の軽量化を達成した。販売価格は直販限定モデルで9万7900円。
Dyson Digital Slimの本体サイズは幅250×奥行1100×高さ233mmで、本体重量は1.9kg。掃除する場所に合わせて吸引力などを調整するための運転モードは「エコモード」「中モード」「強モード」の3段階が用意されており、最大運転時間はそれぞれ最大で40分、25分、5分程度。
最大の特徴は新開発の「Slim Fluffy クリーナーヘッド」だ。Dyson V11に搭載していたクリーナーヘッドと比べて、40%の軽量化に成功した。クリーナーヘッドには大きなごみを捕えるナイロンフェルトブラシと、微細なほこりやハウスダストを捕えるカーボンファイバーブラシが搭載されている。従来製品ではこれら2つのブラシ部分を連結させるために接着剤やプラスチックなどを用いていたが、Dyson Digital Slimは代わりにつなぎ目を縫合する方式を採用した。これにより構成部品などを減らして軽量化に成功したという。
また、縫合する方式を採用したのに合わせて、クリーナーヘッド部分を通る気流の経路も再設計した。これによってクリーナーヘッド部分が従来より平らで薄くなり、壁際や家具の下の隙間にあるほこりなども吸引しやすい形状となった。
クリーナーヘッド以外の部分でも、軽量化と小型化を図るための工夫が随所に取り入れられている。例えば、クリーナーヘッドと連結したパイプ部分はDyson V11と比べると径が6.3mm細く、かつ軽いショートタイプのパイプを採用している。また吸引能力の要となるサイクロン部分は5%、フィルター部分は19%の小型化を達成した。
また、こうした小型化や軽量化の取り組みの一方で、ダイソンでエンジニアを務めるジェームス・シェール氏は「他の軽量型コードレス掃除機よりも、高い吸引力と集じん性能を備えた掃除機になるよう仕上げた。具体的には、サイクロン機構に搭載した新構造を採用した11個のサイクロン機構が約10万Gの遠心力を生み出し、微細なごみやほこりを気流から十分に取り除く。これにより、掃除機のフィルターで捕集するごみなどの総量を減らし、フィルターの目詰まりが起きづらくすることで、吸引力を維持する仕組みを実現した」と語った。
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