オムロンがFA共創拠点をリモート化、リアルとバーチャルの“いいとこどり”目指す:FAニュース
オムロンは2020年6月24日、製造現場の課題を顧客と共に解決するファクトリーオートメーション(FA)技術の集積拠点「オートメーションセンタ(ATC)」のリモート対応を同年7月1日から開始すると発表した。国内3拠点から開始し、今後は海外拠点もリモート対応を進める。
オムロンは2020年6月24日、製造現場の課題を顧客と共に解決するファクトリーオートメーション(FA)技術の集積拠点「オートメーションセンタ(ATC)」のリモート対応を同年7月1日から開始すると発表した。国内3拠点から開始し、今後は海外拠点もリモート対応を進める。
オムロンではモノづくりに関する制御機器などの個別の製品を売るのではなく、製造現場の課題を解決するソリューション型のコンセプト「i-Automation!」を推進しているが、その価値を体感できる場としてグローバルでATCの整備を進めている。2011年から設置を開始し、2020年1月には東京に「オートメーションセンタ TOKYO(ATC-TOKYO)」をオープンさせた(※)。国内では3拠点、グローバルでは合計で37拠点が稼働している状況だ。
(※)関連記事:東京の中心からモノづくり革新を発信、オムロンがFA共創拠点を品川に開設
ATCでは従来、オムロンの持つ技術群を組み合わせ、ユーザーの現場課題に合わせた解決策の見学や実証、ユーザーが機器導入時に必要となる技術トレーニングなどを提供してきたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染防止の影響からこれらのリモート化へのニーズが高まっていた。そこで、10社程度を対象に試験的にリモートで対応を行い、準備を進めてきた。
これらの試験により問題なく活用できることが確認できたため、品川(東京都)、刈谷(愛知県)、草津(滋賀県)のATC3拠点においてリモートでの提案を正式に開始することを決めた。従来リアルで行ってきたことをリモートで行えるようにした他、リモートならではの新たな価値なども打ち出す。
ATCの各拠点はそれぞれ特徴を持っているが、従来は来場する必要があったために3拠点を同時に見学することは難しかった。リモート化することでオンライン接続により3拠点をまたいだ見学や体感などが可能になる。「東京はIoTなどの先進デジタル技術、刈谷は自動車業界に特化したソリューション、草津はオムロンの工場と同じ立地なので工場での実用事例があるなど、ATCにはそれぞれの特徴がある。これらを1度に体感できるようになる」(同社広報)。
さらに、リモート対応により営業、開発、ATCエキスパート、フィールドアプリケーションエンジニア(FAE)や生産など、さまざまな角度からオムロン内の製造現場のスペシャリストを編成し、技術交流やサポートを行える仕組みを作った。「ユーザーも多拠点から部門を越えて参加しやすくなるだろう。より広範囲な課題解決にもつなげることができる」(同社広報)。
今後は海外拠点でも順次リモート対応も行えるようにし、リアルとリモートの良さをうまく使い分けながら、顧客への提案を広げていく方針だ。「技術紹介や交流などはリモートで行い、実際の機器実証や試作など物理的な製品やシステムがかかわるようなところはリアルで行うなど、用途に応じて使い分けていく」(同社広報)としている。
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