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放射音や振動を高精度測定、駆動系ユニット用NV評価試験設備を新設:工場ニュース
小野測器は、宇都宮テクニカル&プロダクトセンターに駆動系ユニット用NV評価試験設備を新設した。対象物が発する音を小さなレベルから高精度に測定でき、放射音や振動の測定、伝達特性などの性能評価が可能になる。
小野測器は2020年5月25日、宇都宮テクニカル&プロダクトセンターのAutomotive Testing Lab(自動車実験棟)に、駆動系ユニット用NV(騒音、振動)評価試験設備を新設して運用を開始したと発表した。
新たに導入した試験設備は、吸音材で囲まれた暗騒音レベル35dB以下の半無響室内に、自社製の駆動系ユニット性能試験用ベンチを設置。測定対象物が発する音を小さなレベルから高い精度で測定でき、放射音や振動の測定、伝達特性などの性能評価が可能になる。
また、併設するバッテリー模擬装置が電動車のモーター評価試験に対応するとともに、新方式を採用した潤滑油温調装置の設備も整えた。駆動系ユニットのロス測定に影響する油温の変化に対し素早くかつ高精度で制御することで、ロス測定の時間を従来の半分に短縮した。
昨今の自動車産業ではコンポーネントのNVH(騒音、振動、ハーシュネス)性能の課題が顕在化しており、音や振動問題への対策ニーズが高まっている。さらに、新たな試験設備は、主流となりつつあるシミュレーションによる自動車の開発手法MBD(モデルベース開発)推進への貢献も期待できる。
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