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JAXAの宇宙開発向け環境試験設備を開放、他産業でも利用可能にFAニュース

宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)は2020年6月12日、エイ・イー・エス(以下、AES)、オリックス・レンテックと連携し「環境試験設備等の運営・利用拡大事業」を開始したと発表した。JAXAが保有する筑波宇宙センターの環境試験設備を、宇宙開発に限らず他産業界で利用できるようにする。

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 宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)は2020年6月12日、エイ・イー・エス(以下、AES)、オリックス・レンテックと連携し「環境試験設備等の運営・利用拡大事業」を開始したと発表した。JAXAが保有する筑波宇宙センターの環境試験設備を、宇宙開発に限らず他産業界で利用できるようにする。

 小型衛星ベンチャー企業や、自動車や建設業界など宇宙産業以外の企業による宇宙ビジネスへの参入が活発になっている。しかし、宇宙関連機器向けの環境試験設備の用意や運用では、高額な設備投資や高度な技術力が必要になることから、小規模な事業者や異業種からの参入に対する障壁となっていた。一方、宇宙産業以外では、製品開発の中で環境試験を行う際に、自社所有の試験設備や試験場では、製品の多様化や開発スピードの加速による設備能力の不足やスケジュール競合などの問題が顕在化している。

 そこでこれらの課題を解決するために、JAXAが保有する日本最高クラスの環境試験設備を広く開放するというのが、今回のプロジェクトである。人工衛星などの宇宙関連機器は、振動や真空、極低温など過酷な環境でも正しく機能を発揮できるようにさまざまな環境試験が行われている。JAXAの筑波宇宙センターでは、宇宙関連機器に向け、熱真空試験を行うスペースチャンバーや大型の振動試験設備など、日本最大級の環境試験設備を保有する。しかし一方で、JAXAだけでこれらの試験設備を常にフル活用しているわけではなく、これらの運用や利用拡大を目指す。

 そのため、JAXAではAESと事業契約を締結し、試験設備や施設および設備に付随する敷地の運営権をAESに委譲した。さらに、AESとオリックス・レンテックが業務提携し、三者の連携により、他産業界への利用拡大を目指す。

 具体的には、JAXAが保有する18の環境試験設備、10の建屋、筑波宇宙センターの敷地を提供し、宇宙開発で培った技術を持つAESが環境試験設備の運用(運転・保守)および環境試験の技術支援などを担う。さらに、全国に営業ネットワークを持つオリックス・レンテックが、利用拡大のための営業活動および敷地を利用したさまざまな企画や提案を行う。

 利用可能となる主な設備は以下の通りである。

photophoto (左)振動試験設備。大小4種類の振動試験機があり、試験対象品の大きさや用途に応じて選択可能。加速度センサーの貸し出しも行う。大型振動試験設備では、自動車や船舶、鉄道などの大型機器の振動試験が可能。(右)EMC・電波設備。EMC評価用やアンテナ評価用など、用途に応じた電波暗室が3室利用できる。電磁適合特性試験設備では、米軍規格および国際宇宙ステーションからの要求に対応した試験が可能(クリックで拡大)出典:JAXA
photophoto (左)スペースチャンバー。容器内に真空・低温環境を作る設備。大小5設備から選択できる。極低温恒温槽としての利用やドローンの高高度飛行試験など、宇宙用途以外への利用拡大を目指す。(右)クリーンルーム・会議室。温度や湿度をコントロールしたクリーンルームも貸し出し可能だ。天井高約18mのエリアでは、清浄度を要求される大型構造物を取り扱える他、ドローンの飛行試験などへの利用を検討している。重量物用の天井クレーンや、計測器類、会議室なども利用できる(クリックで拡大)出典:JAXA

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