自動搬送システムを低コストで運用できる高精度位置検出マークを開発:FAニュース
大日本印刷は、自動搬送ロボットなどの位置を高精度に検出するマーク「DXマーカ」を開発した。ガラス基板上のマークは耐久性に優れており、角度±1度以下と高精度の位置検出が可能なため、低コストでモノの動きをデータ化できる。
大日本印刷は2020年5月7日、物流用自動搬送ロボットなどの位置を高精度に検出するマーク「DXマーカ」を発表した。
位置を特定したい場所や無人移動体にDXマーカを装着し、建物や無人移動体に設置したカメラで同マークを読み取ることで、角度±1度以下と高精度に位置を検出できる。
DXマーカは、液晶ディスプレイのカラーフィルターにも用いられている、同社の高精密な印刷技術「フォトリソグラフィ技術」を活用して開発。40×80mm、厚さ0.7mmのガラス基板上に、±数μ(10-6)mの精度でパターニングされている。
また、DXマーカには、装着した場所や無人移動体を特定できるIDデータが埋め込まれており、カメラ1台と専用ソフトウェアでその情報を読み取れる。そのため、低コストでモノの動きをデータ化でき、管理や解析に活用できる。
従来のマーカーは、精度や耐久性、コスト面に課題があった。精度については、GPSが使えない場所でも誤差10cm未満で測位できる高精度マーカーを産業技術総合研究所が開発していた。今回、大日本印刷はその精度を維持しつつ、同研究所の技術移転ベンチャー、リーグソリューションズによる新たなデザインに基づいて、安価なDXマーカを開発することに成功した。
大日本印刷は今後、DXマーカを使った自動搬送システムの検証を物流機器メーカーと協業して実施するほか、自動搬送システムを低コストで運用したい物流や製造、医療、農業などの分野にDXマーカを提供し、2025年度に年間10億円の売上高を目指す。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 工場自動化のホワイトスペースを狙え、主戦場は「搬送」と「検査」か
労働力不足が加速する中、人手がかかる作業を低減し省力化を目的とした「自動化」への関心が高まっている。製造現場では以前から「自動化」が進んでいるが、2019年は従来の空白地域の自動化が大きく加速する見込みだ。具体的には「搬送」と「検査」の自動化が広がる。 - 協働ロボット普及のカギは「用途別パッケージ」、2020年は“第3の道”にも期待
人口減少が加速する中、製造現場でも人手不足が深刻化している。その中で期待を集めているのがロボットの活用だ。特に協働ロボットの普及により人と同一空間を活用し新たな用途開拓が進んでいる。2020年はこれらの技術進化による普及が本格的に進む一方で、「人」との親和性をさらに高めた“第3の道”の登場に期待が集まっている。 - 人手不足対策で完全自動化は逆効果、人とロボットの協力をどのように切り開くか
人手不足に苦しむ中で、工場でもあらためて自動化領域の拡大への挑戦が進んでいる。その中で導入が拡大しているのがロボットである。AIなどの先進技術と組み合わせ、ロボットを活用した“自律的な全自動化”への取り組みも進むが現実的には難易度が高く、“人とロボットの協調”をどう最適に実現するかへ主流はシフトする。 - 協働ロボット、ロボットシステムに残された課題と未来
協働ロボットを現場で活用するのにどのような工夫が必要か――。ロボット技術の総合展示会「2017国際ロボット展」では、ロボットメーカーおよびユーザー企業によるパネルディスカッション「ロボットフォーラム2017」が実施され、協働ロボットの意義について語った。 - 機械は人の仕事を奪わない、“人とロボットがともに働く現場”が拡大へ
2016年は人工知能関連技術が大きな注目を集めて「機械が人間の仕事を奪う」という議論が大いに盛り上がりを見せた。こうした一方で2017年には「現場」において、こうした動きと逆行するように見える「人とロボットが協力して働く世界」が始まりを迎える。 - 製造現場での普及を2倍に、ロボット新戦略が目指すロボットと共に働く未来
日本政府が主催する「ロボット革命実現会議」は、ロボット活用の技術的および規制面でのロードマップを示した「ロボット新戦略」を発表した。本稿では、この新戦略の中で示されている「モノづくり」分野への取り組みにフォーカスし、その内容を紹介する。