高精度はそのまま剛性を向上、ヤマハ発動機が新型高性能リニアコンベヤー発売:FAニュース
ヤマハ発動機は高速かつ高精度にワークを搬送できるリニアコンベアモジュール「LCMR200」を同年7月1日に発売する。現行機設置方法を見直すて高精度性はそのままに剛性を向上させた。
ヤマハ発動機は2020年5月26日、リニアモーターとスライダーの組み合わせでワークを搬送するリニアコンベヤーモジュール「LCMR200」を同年7月1日に発売すると発表した。現行機「LCM-X」の後継機にあたり、リニアコンベヤー本体の設置方法を改善したことで、高い精度はそのままに剛性向上を実現した。価格はオープンで、市場想定価格も非公開としている。
LCMR200の最大可搬質量は15kgで、同時制御可能なスライダ数は最大64台。スライドの最高速度は搬送質量が10kg以内の場合は秒速2500mm、10kg超の場合は秒速2000mmとなる。リニアモジュールの断面最大外形は幅175×高さ109mmで、全長は200、300、500、1000mmの4種類が存在する。電源はDC48V。
ヤマハ発動機のリニアコンベヤーモジュールは従来のベルトコンベヤーなどと比較して、ラインの組み替えが簡単な上、高速かつ高精度でのワーク搬送が行える点が特徴だ。電気、電子部品や車載部品など小型部品の多い組み立て工程への導入実績が多い。
LCMR200の最大の特徴は、LCM-Xからリニアコンベヤーの設置構造を変更した点である。LCM-Xはリニアコンベヤーを橋脚で支えていたが、これを荷台にべた付けする設置方式に変更した。併せてリニアガイドやスライダのガイドブロックをサイズアップして強度も向上させた。これに伴いリニアコンベヤーの剛性が向上し、スライドからワークがはみ出した状態(オーバーハング)への対応力や、圧入工程で生じる押し込む力への耐久力が向上した。
LCMR200の制御は最大64台のスライダを一括で管理可能な専用コントローラー「YHX」で行う。また、LCM-Xでは制御時にYHXコントローラー内にラダープログラムを作成する必要があったが、LCMR200では上位のシーケンサーであるPLCから直接制御できるようにした。実現の鍵となったのは「スタンダードプロファイル」と呼ばれる新開発のプログラムだ。YHX内に搭載し、PLCから送信された命令をLCMR200が解釈して制御する仕組みを整えたことで実現した。これらの工夫により、自動化設備の構築がより簡単に行えるようになっている。
LCM-Xと同様にリニアモーターによるダイレクト駆動方式を採用しており、ワークの高速搬送だけでなく高精度停止や位置決めも行える。また、ケーブルの取り出し方向をリニアコンベヤーの正面と背面から選べる設計にしたことで、電気配線を含めたレイアウトの自由度も向上した。
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