ヤマハ発動機の半導体後工程装置子会社が発足、“どん底”からのV字回復目指す:製造マネジメントニュース(1/2 ページ)
ヤマハ発動機子会社のヤマハモーターロボティクスホールディングス(YMRH)が2019年7月〜2021年末まで2年半の中期経営計画を発表。2020年上期までに生産拠点再編を行うなどして、足元で営業赤字に陥っている業績を、2021年に売上高351億円、営業利益21億9000万円のV字回復を目指す。
ヤマハ発動機子会社のヤマハモーターロボティクスホールディングス(YMRH)は2019年8月7日、東京都内で会見を開き、2019年4〜6月期の業績とともに、2019年7月〜2021年末まで2年半の中期経営計画を発表した。2020年上期までに生産拠点再編を行うとともに、調達の一本化や商品力の向上、クロスセルの拡大を進めて、足元で営業赤字に陥っている業績を、2021年に売上高351億円、営業利益21億9000万円のV字回復を目指す。
YMRHは、2019年2月にヤマハ発動機が事業統合を発表した、ボンディング装置大手の新川とモールディング装置大手のアピックヤマダを傘下に置く持ち株会社である。ヤマハ発動機の表面実装機と産業用ロボットの事業、新川のボンディング装置、アピックヤマダのモールディング装置という、各社の有力な技術を統合し、半導体後工程におけるターンキープロバイダーとして顧客の期待を超えるトータルソリューションを提供することを目的としている。YMRHの設立は2019年7月1日で、同年7月末にアピックヤマダが傘下に加わることで事業統合が完了した。
YMRHの2019年4〜6月期業績は、アピックヤマダが加わる前ということで、新川単独の業績と連動している。売上高は前年同期比5.2%増の19億6200万円、営業損失は同3億3000万円悪化の11億7900万円、経常損失は同2億9700万円悪化の11億8700万円、当期純利益は同2億9100万円悪化の12億3000万円。ヤマハ発動機による事業統合前に決定していた、パイオニアFAの子会社化で売上高は増加したものの、半導体業界の設備投資抑制が想定を上回り「新川単体では減収減益。販売価格の低下もあり、極めて厳しい業績だ。2019年下期に構造改革を断行し、速やかな業績改善を目指す」(YMRH 社長の石岡修氏)という。
「半導体市場がボトムでも黒字を維持できるようにする」
2019年下期にアピックヤマダが加わったとしても、半導体業界の設備投資抑制の厳しさは増しており、YMRHの業績改善は容易ではない。今回発表した中期経営計画では、「半導体需要減少に左右されず安定的に黒字を維持できる事業構造の構築」と「後工程装置の高機能化要求に応える先端技術領域への研究開発投資を支える財務力の強化」の2つを課題として挙げた。
ヤマハ発動機 取締役 常務執行役員でYMRH 会長の加藤敏純氏は「迅速なる構造改革と成長を同時に行い、早期の黒字化を実現する。半導体市場がボトムでも黒字を維持できるようにする」と語る。
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