ヤマハ発動機の半導体後工程装置子会社が発足、“どん底”からのV字回復目指す:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
ヤマハ発動機子会社のヤマハモーターロボティクスホールディングス(YMRH)が2019年7月〜2021年末まで2年半の中期経営計画を発表。2020年上期までに生産拠点再編を行うなどして、足元で営業赤字に陥っている業績を、2021年に売上高351億円、営業利益21億9000万円のV字回復を目指す。
新川の本社工場を閉鎖、海外工場も1拠点に集約
当面の課題は財務力の回復に向けた構造改革だ。まず、工場については、2019年下期中に新川の本社工場(東京都武蔵村山市)を閉鎖する。併せて、新川で70人規模の希望退職募集も行う。同工場の生産品目のうち、ダイボンダーはヤマハ発動機の浜松拠点(松市北区)に、ワイヤボンダーは新川のタイ工場に移管する。この結果、YMRHの国内生産拠点は、ヤマハ発動機の浜松拠点、パイオニアFAの本社工場(埼玉県坂戸市)、アピックヤマダの本社工場(長野県千曲市)の3拠点体制になる。
また、アピックヤマダの海外生産についても、新川のタイ工場に移管する方針だ。YMRHとして海外の生産拠点は中国を含めて3拠点あるが、これらを全て新川のタイ工場に集約する。なお、台湾には大口顧客向けにデモやラボの機能を持つ拠点を新たに開設する計画だ。国内外の生産拠点の再編は「2020年の旧正月明けまでには終わらせたい」(加藤氏)という。
新川、パイオニアFA、アピックヤマダがそれぞれ独自に展開してきた海外販売拠点についても、2020年上期までに統合する。調達関連では、既存モデルの共同購買を2020年上期から、新モデル向けプラットフォームの共同開発を2020年下期から始める。これらの構造改革施策を進めることで、2019年下期に対する半期ごとのコスト削減効果は、2020年上期で12億円、2021年下期には18億円が得られると想定している。
ただし、足元の厳しい業績からの黒字化は構造改革だけでは達成できない。商品力の向上やクロスセルの拡大による稼ぐ力の強化が必須だ。新川のボンディング装置やアピックヤマダのデバイスマウンターにヤマハ発動機の表面実装機の技術を、アピックヤマダのモールディング装置やパイオニアFAのカメラモジュール装置にヤマハ発動機の産業用ロボットの技術を組み込むことで商品力を高める。また、新市場を生み出す製品として、ボンディング装置と組み合わせて用いる検査装置の開発も進めている。クロスセルの拡大では、新川とアピックヤマダの製品の販売でヤマハ発動機の表面実装機の販路を、パイオニアFAの製品の販売でヤマハ発動機の産業用ロボットの販路を活用する。
中期経営計画中の半期ごとの売上高予想は、2019年下期の114億円を底に、2020年上期に129億円、2020年下期に164億円、2021年上期に162億円、2021年下期に189億円となっている。2020年上期から、グループ全体で共同開発したプラットフォームをベースとした新モデルを続々と市場投入する計画で、「需要面でも2020年下期から回復するだろう」(加藤氏)という。
加藤氏は「ピーク時の年間売上高で見ると、新川は500億円、アピックヤマダは400億円を記録している。現在はそこからかなり落ち込んでいるが、ヤマハ発動機の技術と販路で回復させたい。半導体市場の景気は今はどん底だが、1年後には景気が回復すると想定しており、中期経営計画はそのタイミングを捉えるために力を蓄えるための内容になっている」と述べている。
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