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ヤマハ発動機の戦略拠点、徹底した製販一体化で短納期化を実現メイドインジャパンの現場力(9)(1/2 ページ)

ヤマハ発動機は、表面実装機や産業用ロボットの開発、製造、販売を行う「新浜松IM事業所」を完成。新拠点を軸に製販一体化を強化しIM事業部の売上高600億円、利益率20%の目標達成を目指す。

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 ヤマハ発動機は、静岡県浜松市に、新たに表面実装機や産業用ロボットの開発、製造、販売を行うIM事業部の新事業所「新浜松IM事業所」をオープンさせた。これまで静岡県浜松市内に3カ所あった事業所・工場を集約したもので、移転前と比べて生産スペースは5割拡大。また、マウンターの想定生産能力は8割以上向上するという。

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ヤマハ発動機の新浜松IM事業所(クリックで拡大)出典:ヤマハ発動機

マウンターおよびロボットの新戦略拠点

 新設した「新浜松IM事業所」は、これまで浜松市内にあった浜松IM事業所(中区早出町)、都田事業所(北区新都田)、倉松工場(南区倉松町)の3事業所・工場を集約したものだ。浜松駅の北部、自動車で30〜40分にある6万200m2の敷地(南北約200m×東西約360m)に、鉄骨4階建て(3階プラス一部中2階建て構造)の建屋(約172m×98m)を建設した。延べ床面積は5万2317m2に及ぶ。投資総額は92億円(土地代含む)。

 新事業所のレイアウトは、1階フロアでマウンターメイン組み立て、マウンターサブ組み立て、マウンターベース組み立て、単軸・直交ロボット組み立てなどを行う。マウンターのデモルームや、天候にかかわらずトラックが通り抜け出入荷が行えるよう車路を設けている。

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新浜松IM事業所のサーフェスマウンターの組み立て工程(クリックで拡大)出典:ヤマハ発動機

 2階フロアにはマウンターサブ組み立ての作業場、開発実験エリアの他、事務所、会議室などのオフィス(執務)エリアおよび展望室を設置した。3階フロアではスカラロボットの組み立て、フィーダー組み立て、マウンターサブ組み立て、単軸・直交ロボット組み立て、コントローラー組み立てなどを行う。その他、マウンターおよびロボットトレーニングルーム、パーツ保管庫、食堂などを用意した。従業員は1200人(派遣など含む)となっている。

photophoto 単軸用ロボットの素材加工工程(左)とデモルームの様子(右)(クリックで拡大)出典:ヤマハ発動機

 生産スペースはマウンターが7364m2(移転前比60%増)、ロボットが2067m2(同96%増)生産共通4350m2(同27%増)で合計1万3781m2(同52%増)とこれまでよりも5割拡大した。生産スペースが広がったことや、移転前の事業所では一部分断されていた組み立てスペースを効率的に配置し、生産効率が改善されたことなどでマウンターの生産台数は移転前(計画当時)の月間145〜270台(年間1700〜2500台)から270〜510台(年間3200〜4800台)へと約8割増加することを想定している。

 さらに、新事業所での生産工程では、工程間の連携を緊密化することにより、リードタイムの削減を実現している。受注後、マウンターであればX軸サブ組み立て、ヘッド部品サブ組み立て、機械部品サブ組み立てなどと、その後のメイン組み立てを含めて約10日間で実施。エージング、カバー取付をおよそ5日間で行い、その後の実装調整、検査、梱包出荷工程まで含めて約20日間で出荷できる短納期体制を整えた。

製販一体化で短納期化を加速

 IM事業部太田裕之事業部長は「新事業所には3つのコンセプトがある。1つ目は製販一体化のさらなる強化、2つ目が顧客接点の強化、そして3つ目が社員の労働意欲が高まる先端事業所とすることだ」という。具体的には、顧客の要望をスピーディに形にするために、事務所と工場を一体の構造にした他、営業、技術、管理部門を2階に置き、隣の製造現場と合わせて、顧客のニーズに素早くこたえられるよう製造工程の合理化に取り組んでいる。

 来社する顧客が「最先端」と「くつろぎ」を感じてもらえるよう共有スペース、エントランス、応接室などは明るく、開放的な構造とし、トレーニングルーム、デモルーム、立ち合いスペースも拡充している。さらに見学しやすい工場レイアウトなど、顧客理解を促す施設の強化を図った。このうち、デモルームにはサーフェスマウンターと産業用ロボットを約30台展示し、顧客理解を深めてもらう取り組みを行う。

 この他、現在700人が在籍している2階のオフィス部分は最大1000人が働けるように広いスペースを設置。社員同士のコミュニケーションが取れるようリフレッシュコーナーなどを設けた。事業所の生産キャパシティーの拡大とともに「将来を見据えた事業所」(太田氏)としている。

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