医療従事者の食事や休憩の場所を提供
トヨタ自動車九州は2020年5月1日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療向けにフェイスシールド2000個と取替え用のシールドフィルム3万枚を社内で生産し、6月末までに地元の医療機関や自治体に提供すると発表した。
提供先は福岡県嘉穂・鞍手保健福祉環境事務所(宮若市を含む管轄の新型コロナウイルス検査医療機関へ配布)、宗像市内の病院、宗像市役所、苅田町の病院、北九州市の病院だ。
トヨタファイナンシャルサービスとKINTOは2020年5月1日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療にあたる医療従事者向けに食事や休息スペースを無償提供する支援活動に協賛すると発表した。
支援活動は、フードトラック事業を運営するMellowと、キャンピングカーのシェアリング事業を運営するCarstayが実施するもので、5月初めから東京と関東圏の病院にフードトラックやキャンピングカーを派遣している。トヨタファイナンシャルサービスとKINTOは支援活動の資金の一部を拠出する。また、デンソーはキャンピングカー内の除菌や消臭のための「車両用クレベリン」を無償提供する。
感染者の搬送車両、フェイスシールド、次亜塩素酸水など
ホンダは2020年5月6日、米国でも新型コロナウイルス感染症の感染者搬送車両を提供すると発表した。まず、ミシガン州デトロイト市に10台を納車。今後も、ニーズの高い自治体への貸与を検討していく。米国では北米仕様の「オデッセイ」をベースに運転席と後部座席に仕切りを設置し、前後席間の圧力差を利用して後部座席の感染者から前方の運転者に感染するリスクを減らす。
日本では、同様の仕組みの車両を5月1日までに東京都や埼玉県、三重県、栃木県などの21の自治体に83台納車している。車両の内装を変更する作業は埼玉製作所の狭山完成車工場が中心に行っており、ものづくりセンター栃木、鈴鹿製作所、浜松工場のトランスミッション製造部などでも対応している。
北米では、医療用コンプレッサーの生産に対して、量産のノウハウを生かした支援も開始した。月産1万個を目指している。
スズキも、地元自治体への支援を行っている。静岡県浜松市の公用車「エブリイ」5台に、運転席と後部座席の仕切りとなる間仕切り用カーテンを提供した。
また、スズキの製造子会社であるスニックと協力し、従業員向けの布マスクを生産、配布する。マスクの表生地には、柔らかい質感の浜松の伝統織物「遠州綿紬」を使用。裏生地はガーゼを使用し、市販のフィルターなどが追加できるように内ポケットを装備した。咳やくしゃみなどの飛散や、口や鼻に触れるのを防ぐことから、感染拡大防止の効果が期待できるとしている。また、スズキマリンが取り扱う超音波溶着機を使ったマスク生産の間接支援も行っている。
ヤマハ発動機は2020年5月1日、自社の生産技術とリソースを活用し、フェイスシールドと次亜塩素酸水を生産すると発表した。まずは5月中旬を目処に磐田市医師会を通じて近隣の医療機関に1000セット以上のフェイスシールドを提供する。次亜塩素酸水は1日500l(リットル)の製造が可能だとしている。
知的財産に関する新型コロナウイルス感染症対策支援宣言
「知的財産に関する新型コロナウイルス感染症対策支援宣言」に、発起人として自動車業界からトヨタ自動車や日産自動車、ホンダが参画した。
これは、世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルス感染症まん延の終結宣言を行う日までの間、新型コロナウイルス感染症の診断、予防、封じ込めおよび治療をはじめとする行為について、特許権や実用新案権、意匠権、ソフトウェアプログラムの著作権など知的財産権の権利行使を行わないことを宣言するものだ。対象となる知的財産権に関しては、侵害有無の調査やライセンス許諾を求める交渉に時間や費用を費やすことなく利用することができる。
発起人には、臨床検査を行うLSIメディエンスやエスアールエル、京都大学医学研究科附属ゲノム医学センター、医療ベンチャーのジェノコンシェルジュ京都、味の素、NECソリューションイノベータ、キヤノン、コニカミノルタ、島津製作所、椿本チエイン、帝人、ニコン、堀場製作所、ロームなどが名前を連ねる。
関連記事
- ≫特設サイト「新型コロナウイルス 製造業が直面する未曾有の試練」
- トヨタ系サプライヤーで減収減益が相次ぐ、マイナス要因は新型コロナ以外にも
トヨタ系自動車部品サプライヤー各社は2020年4月30日、2020年3月期通期(2019年4月〜2020年3月)の決算を発表した。デンソー、豊田自動織機、アイシン精機、トヨタ紡織、豊田合成、ジェイテクトの6社は減収減益となり、ジェイテクトは当期純損益が赤字だった。 - 日本電産は売上半減でも営業黒字の体制へ、20年度は増益を宣言
日本電産は2020年4月30日、2020年3月期通期(2019年4月〜2020年3月)の決算を発表した。連結売上高は前期比4.0%増の1兆5348億円となり、過去最高を更新した。営業利益は同14.6%減の1103億円、当期利益は同45.4%減の601億円で増収減益となった。減益要因となったのは、自動車の駆動用モーターの開発と生産立ち上げに向けた追加の先行投資140億円や、買収の一時費用30億円、冷蔵庫向けコンプレッサー事業の譲渡などに関わる損失157億円などだ。 - 新型コロナによる日系乗用車メーカーの国内拠点、操業予定まとめ(随時更新)
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大により、新車需要や海外からの部品調達が受ける影響が大きくなっている。本稿では自動車メーカーの国内拠点の生産調整や休業の予定などをまとめた。情報は5月末まで随時更新する。 - コロナショックが明らかにした「サプライチェーンリスクマネジメント」の重要性
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、製造業は自社のサプライチェーンが途絶し、顧客に製品やサービスが供給できなくなるリスクに直面している。本稿では、今回の“コロナショック”を契機に、自社サプライチェーンのリスク対応力強化を検討している製造業に向け「サプライチェーンリスクマネジメント(SCRM)」について解説する。 - パンデミックに耐えうるサプライチェーンのリスクマネジメントとは(前編)
物流の第4次産業革命ともいえる「Logistics 4.0」の動向解説に加え、製造業などで生み出される新たな事業機会について紹介する本連載。今回は特別編として、新型コロナウイルス感染症のようなパンデミックにも対応可能な、サプライチェーンの維持・継続を図るためのリスクマネジメントの在り方を取り上げる。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.