NTTコムとPwCの製造業受発注デジタルマッチング基盤は「他サービスと競合せず」:メカ設計ニュース(2/2 ページ)
NTTコミュニケーションズ(NTTコム)とPwCコンサルティング(PwC)は、デジタル設計データを活用して製造業の設計・調達関連業務の効率化を実現するデジタルマッチングプラットフォーム(設計/調達DX)の事業展開で協業すると発表した。2020年7月に数社の製造業顧客とともにスタートする実証実験を経て、同年度中の商用化を目指す。
デジタルマッチングプラットフォームの機能
デジタルマッチングプラットフォームの機能は、設計担当者と調達担当者、部品加工業者などのサプライヤー向けの3つに分かれている。
設計担当者向けでは「重複設計の防止機能」と「仕様・補足情報の一元管理機能」がある。「重複設計の防止機能」は、類似部品解析AI(人工知能)を活用して過去の設計データを類似部品ごとにカテゴライズし、設計データのカタログを自動生成することで重複業務の発生を抑制する。「仕様・補足情報の一元管理機能」では、製造に必要な詳細な仕様・補足情報を3Dデータとともにクラウドで一元的に管理して、設計者の2D/3Dデータや書類の作成業務の効率化につなげる。
調達担当者向け機能になるのが2種類の「デジタルマーケットプレイス」だ。従来の取引関係に拠らず、柔軟にさまざまなメーカー(発注側)やサプライヤー(受注側)とつながる機能であり、公開案件への見積回答など一連の受発注業務をデジタルマッチングプラットフォーム上で行う入札型と、設計データと部品加工業者の製造リソース情報を活用したマッチング型を用意する。また、発注部品の3DデータをAI解析することで、同一部品のグループを自動生成し、同一部品を異なるサプライヤーへ発注するというムダを抑制する「AI部品形状クラスタリングの集中購買機能」も提供する。
サプライヤー向け機能の「見積・受注履歴の検索機能」は、類似部品解析AIを活用し、見積依頼を受けた部品の3Dデータをもとに、過去の見積対応や受注した類似の部品を検索できるようになる。受注側のサプライヤーとしては、複数のメーカーから受けた大量の見積対応が課題になっており、この機能により各担当者が行っている見積算出業務の効率化が図れるという。
PwC ディレクターの三山功氏は「当社は2020年1月に未来のモノづくりワーキンググループとなる『Future Design Labs』を設立し、製造業への提案を強化している。NTTコムとはスマートファクトリー推進室の立ち上げ時から戦略パートナーとして協力しているが、その活動の中で両社の考え方が共鳴したこともあり今回の協業に踏み切った」と説明する。
“つなぐ”がコアコンピタンス、他のマッチングサービスとは協調へ
発注側となるメーカーと受注側となるサプライヤーをオンライン(デジタル)でつなぐマッチングサービスとしては、スタートアップのキャディが提供する「CADDi」や、自動車部品大手ジェイテクト子会社のジェイテクトFAが展開する「Factory Agent」などがある。また、3Dデータを活用してオンラインで部品加工を発注するという観点では、ミスミの「meviy」やプロトラブズのサービスなどもある。
これら先行して展開するサービスに対して、NTTコムとPwCのデジタルデジタルマッチングプラットフォームはどのような事業展開を目指しているのだろうか。赤堀氏は「当社のSmart Factory向けの事業展開は“つなぐ”ことをコアコンピタンスとしている。そういった他のマッチングサービスと競争するのではなく、できるだけ協調していきたい。既にいろいろと話をしているところもある」と説明する。
実際に、デジタルマッチングプラットフォームとしてさまざまな機能を用意しているが、これらを全て導入する必要はなく、他社サービスなどと組み合わせることで「製造業のDXに貢献していくことが重要だ」(三山氏)という。
なお、NTTコムは、Smart Data PlatformをベースにしたSmart Factory向けの事業展開で数年内に年間売上高200億〜300億円を目標としている。その中でデジタルマッチングプラットフォームで100億円近くを稼ぎたい考え。「その時点で数千社のユーザーが集まるイメージだ」(赤堀氏)という。
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