AIによる外観検査を即日導入、設定作業は独自アルゴリズムで最短1日:人工知能ニュース
Pros Consは独自開発の教師なし学習アルゴリズムを搭載した外観検査AI作成ソフト「Gemini eyes」を発売。良品画像だけでAIモデルを作成でき、最短1日で現場に導入可能。
製造業向けAI開発ベンチャーのPros Consは2020年4月22日、同社が独自開発した教師なし学習アルゴリズムによって、少量の画像データで外観検査用AI(人工知能)モデルを作成できるソフトウェア「Gemini eye」を同年4月23日から販売すると発表した。画像サンプルなどの収集・作成の手間が省け、最短1日で外観検査AIを生産ラインに導入できる。
Pros Consは2019年1月、同社 代表取締役 CEOの安部正一郎氏らによって設立されたAI開発ベンチャーだ。自動車メーカーなどの製造業者を対象に、AIの導入検討から運用までを一気通貫で行うAIソリューション事業などを展開している。
従来、外観検査用のAIモデルを作成するためには、AIに学習させるための不良品画像データ(教師データ)を数千から数万枚程度収集する他、傷やへこみなどの不良箇所をマーキングする画像加工(アノテーション)も行う必要があり、こうした作業負担が製造現場へのAI導入を阻む一因となっていた。
Gemini eyeはこうした課題を解決するために開発されたソフトウェアだ。Gemini eyeにはPros Consが独自開発した、製造現場での異常検出に特化した教師なし機械学習アルゴリズム(特許出願中)が搭載されている。これによって教師データとして不良品画像を収集する必要がなくなり、良品画像データだけで外観検査用のAIモデルが作成可能となった。
良品画像データはGemini eyeが良品画像を撮影した動画や画像を基にして、1分間で1000枚以上の学習用高解像度画像(1360×1360ピクセル)を自動生成する。このためユーザーは良品画像データを収集、アノテーションする手間を省力化できる。また、学習後のAIモデル構築は6つのパラメータを調整して行う仕組みとなっており、プログラミングの専門知識がないユーザーでもAIモデルを作成できる。
実運用時には、Gemini eyeを導入したPCにWebカメラを接続するだけで、30fpsでの高速リアルタイム推論処理による外観検査が行える。外観検査中の判定結果はリアルタイムでフィードバックされ、AIモデルによる不良品判定後に即座に生産ラインを停止できる。また、AIが製品のどの箇所に注目して不良品判定を下したかを可視化できるヒートマップ機能も搭載しており、これを活用することでAIの精度を現場運用に適したレベルに逐次最適化できる。PC上でのオフライン利用も可能なため、データ流出などセキュリティリスクも抑えられる。
さらに2020年6月には、Pros Consが独自開発したAI軽量化技術をGemini eye向けに新たにリリースする予定だ。軽量化によってNVIDIAの組み込みAIボード「Jetson Nano」上でもGemini eyeが運用可能になるため、各生産ラインにJetson Nanoを設置することで複数ラインの同時監視も実現できる。
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