IHIといすゞ、村田製作所の工場従業員が新型コロナに感染、操業停止が相次ぐ:工場ニュース
従業員の新型コロナウイルス感染症への感染による工場の操業停止が相次いでいる。2020年4月12〜14日にかけて、IHIエアロスペース、いすゞ自動車、村田製作所が発表した。
従業員の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への感染による工場の操業停止が相次いでいる。2020年4月12〜14日にかけて、IHIエアロスペース、いすゞ自動車、村田製作所が発表した。
IHIグループで宇宙機器や防衛機器を手掛けるIHIエアロスペースは同年4月12日、冨岡事業所(群馬県富岡市)に勤務する従業員にCOVID-19の陽性反応が確認されたと発表した。4月10日から感染した従業員の職場を閉鎖して消毒や濃厚接触者の特定などの対策を行った上で、4月11日からは同事業所全体も休業していたが、さらに複数の従業員から陽性反応が確認されたため4月24日まで休業を延長している。
同事業所では、4月10日に2人、4月11日に1人、COVID-19の陽性反応が確認された。これに合わせて3人の行動履歴調査と管轄保健所による濃厚接触者特定への協力を行い、接触履歴があり感染が疑われる関係者に対する自宅待機およびその健康状態に関する経過確認を行っていた。しかし、さらに3人の従業員からCOVID-19の陽性反応が確認された。そこで、再開に向けた安全確保のため事業所全域の十分な消毒などの処置を実施するべく富岡事業所を4月24日まで休業することを決めた。
IHIエアロスペースは、イプシロンロケットやH-IIAロケット、H3ロケットなどの固体燃料ロケットや、国際宇宙ステーション、はやぶさ2などの開発に携わっている。富岡事業所はその中核工場だ。
いすゞ自動車は2020年4月13日、国内の商用車組立の主要拠点である藤沢工場(神奈川県藤沢市)の製造系職場に勤務する従業員2人のCOVID-19への感染を確認したと発表した。複数の感染者を確認したことを受けて、4月13〜17日までの5日間、同工場の稼働を停止し範囲を拡大して消毒作業を実施している。
今回感染が確認されたのは30代男性社員と40代男性社員。30代男性社員は、4月3日夜に発熱し、医療機関で風邪との診断を受け自宅療養していたが、その後も症状が回復しないため4月10日にPCR検査を実施し、同日夕刻にCOVID-19の陽性反応が判明した。4月11日からは藤沢市内の医療機関に入院している。40代男性社員は、4月3日夜に発熱し、医療機関で風邪との診断を受け自宅療養していたが、その後も症状が回復しないため4月9日にPCR検査を実施したところ、翌4月10日夕刻にCOVID-19の陽性が判明した。同日から茅ヶ崎市内の医療機関に入院している。
両従業員とも4月3日を最後に藤沢工場には出社していない。また、それぞれ異なる職場で勤務しており、相互の接触が無いことを確認しているという。行動履歴から濃厚接触者と疑われる従業員を特定して自宅待機を命じるとともに、職場や共用施設の消毒作業を実施するなどの対応をとった。
ただし、複数の新型コロナウイルス感染者が確認されたことや、緊急事態宣言が発出されている状況下であることを考慮し、慎重を期して藤沢工場の操業停止に踏み切った。
村田製作所は2020年4月14日、グループ会社の出雲村田製作所の本社工場(島根県出雲市)に勤務する従業員1人のCOVID-19への感染を確認したと発表した。従業員の健康・安全面への配慮から、4月14〜16日まで同工場の操業を停止している。
島根県で初めてCOVID-19の感染が確認されたのが4月9日。出雲村田製作所の従業員は、県内初の感染者が発生した飲食店の利用者として4月13日にPCR検査を受けた結果、陽性反応が確認されたという。
工場の操業を停止して、感染した従業員と接触履歴のあった従業員が勤務していた建物や利用していた関連施設を消毒した。保健所から提示された基準に基づく濃厚接触者はいなかったが、慎重を期すために、行動記録をベースに感染者との接触が確認できた従業員61人について、4月14日から14日間の自宅待機とし、健康状態の経過確認を実施する方針だ。
なお、出雲村田製作所のイワミ工場(島根県大田市)については操業停止の対象外となっている。
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