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スバルダイハツ以外が前年割れ、2月の新車生産は新型コロナの影響が鮮明に自動車メーカー生産動向

日系乗用車メーカー8社の2020年2月の生産実績は、新型コロナウイルスの感染が広がった中国の影響が大きく表れた。グローバル生産台数はダイハツ工業とSUBARU(スバル)を除く6社が前年割れとなった。

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 日系乗用車メーカー8社の2020年2月の生産実績は、新型コロナウイルスの感染が広がった中国の影響が大きく表れた。グローバル生産台数はダイハツ工業とSUBARU(スバル)を除く6社が前年割れとなった。ホンダ、日産自動車、マツダは中国生産の割合が大きく、落ち込みが目立った。さらに中国からの部品調達の影響で国内生産もトヨタ自動車、ホンダ、日産自動車、マツダが2桁減となった。海外生産も、中国生産を行う5社全てが2桁減だった。

 2月は中国を中心に新型コロナウイルスの影響が目立った。さらに2020年3月以降は欧米をはじめ世界的に感染拡大が広がっており、今後のグローバル生産は一層の落ち込みが予想される。

2020年2月の日系乗用車メーカーの生産実績
国内 海外 (うち中国) 合計
トヨタ 263,782 361,968 15,311 625,750
▲ 15.7 ▲ 12.3 ▲ 77.4 ▲ 13.8
ホンダ 71,006 218,249 5,700 289,255
▲ 13.6 ▲ 29.3 ▲ 92.4 ▲ 26.0
日産 51,673 218,400 7,740 270,073
▲ 29.3 ▲ 28.3 ▲ 87.9 ▲ 28.5
スズキ 77,609 176,417 - 254,026
▲ 1.3 ▲ 6.8 - ▲ 5.2
ダイハツ 86,752 56,207 - 142,959
2.6 1.3 - 2.1
三菱 48,500 53,052 240 101,552
▲ 6.7 ▲ 17.9 ▲ 97.0 ▲ 12.9
マツダ 76,340 23,578 920 99,918
▲ 16.4 ▲ 30.1 ▲ 90.6 ▲ 20.1
スバル 57,915 33,343 - 91,258
22.1 3.7 - 14.7
合計 733,577 1,141,214 - 1,874,791
※上段は台数、下段は前年比。単位:台、%

トヨタはアジアの影響大、ダイハツは好調

 トヨタ自動車は、グローバル生産台数が62万5750台で前年同月比13.8%減、2カ月連続でマイナスとなった。国内生産は同15.7%減の26万3782台と5カ月連続の前年割れだ。トヨタ自動車では新型「RAV4」などの販売は堅調だったものの、依然として消費税増税による販売面のマイナス影響が続いていることや、稼働日が1日少なかったことを要因に挙げる。

 海外生産は、同12.3%減の36万1968台で、2カ月連続のマイナスだ。北米は同7.2%増と好調で、米国で販売好調なRAV4や新型「ハイランダー」が寄与した。RAV4の生産が順調なカナダが同37.8%増と大幅に増加した。欧州も同11.0%増と伸長している。「カローラ」のハイブリッド車が販売好調なことに加えて、日本から輸出する部品割合を下げて海外生産として計上するようになったロシア向けRAV4も増加要因となった。

 一方、同36.4%減と大きく台数を落としたのがアジアだ。インドネシアは2019年11月から生産開始した「カリヤ」の増加で2桁増と好調だったものの、春節による長期休暇と新型コロナウイルスの感染拡大で2月下旬まで生産を停止した中国が同77.4%減と大幅に減少した。トヨタ自動車では2020年2月24日に全ての中国工場を再稼働したが生産ペースは低く、3月以降も低水準の生産が予測される。中国以外ではタイがバーツ高や景気低迷による新車市場の減速により同23.6%減と厳しい状態が続いている。

 トヨタグループでも中国生産のないダイハツ工業は好調だ。グローバル生産は同2.1%増の14万2959台と5カ月ぶりに前年実績を上回った。国内は、軽自動車が同14.6%減と不調が続いているものの、小型SUV「ロッキー/ライズ(トヨタ自動車向けOEM)」の販売好調により登録車は同51.9%増の3万3260台と全ての月を通じて過去最高を記録。その結果、国内トータルでは同2.6%増の8万6752台と3カ月連続で前年実績を上回り、2月として過去最高を更新した。海外もマレーシアで小型セダン「ベザ」などの販売が増加したことで同1.3%増の5万6207台と5カ月ぶりにプラスへ転じた。

ホンダと日産の落ち込み目立つ

 落ち込みが目立つのが中国事業のウエートが大きいホンダと日産自動車だ。ホンダのグローバル生産は、同26.0%減の28万9225台と7カ月連続で減少した。このうち中国は新型コロナウイルスの発生源である湖北省に工場を構えていることもあり、同92.4%減の5700台と大幅なマイナスとなった。中国以外でも北米はセダン系モデルの低迷で同4.8%減と5カ月連続で減少し、欧州も同21.4%減で22カ月連続のマイナス。その結果、海外生産は同29.3%減の21万8249台と大幅に減らし、5カ月連続の前年割れとなった。

 国内は、電動パーキングブレーキの不具合で停止していた「N-WGN」の生産を1月下旬に再開したものの、消費増税の影響による国内市場の低迷を受けて同13.6%減の7万1006台と6カ月連続のマイナスとなった。

 日産自動車は国内外で厳しい。グローバル生産は同28.5%減の27万73台と、5カ月連続で減少した。国内は「ノート」の販売減少や北米向け輸出の減少などに加えて、新型コロナウイルスの感染拡大で中国からの部品供給が滞った影響もあり、同29.3%減の5万1673台と大幅に減少し、13カ月連続の前年割れとなった。海外は、中国が同87.9%減の7740台と2カ月連続のマイナス。感染拡大によるサプライチェーンへの影響で大幅に減少した。米国は「ローグ」などの減少で同23.9%減と厳しい状況が続いている。その結果、海外トータルでは同28.3%減の21万8400台だった。

スバルは前年同月比でプラス、三菱は中国で97%減

 マツダと三菱自動車も中国生産の影響が目立つ。マツダのグローバル生産は同20.1%減の9万9918台と6カ月連続で減少し、三菱自動車とグローバル生産の順位が逆転した。海外は同30.1%減の2万3578台と3カ月ぶりのマイナス。このうち中国は同90.6%減の920台と大きく落ち込んだ。国内も「CX-30」の純増があったものの、「CX-5」や「マツダ3」の減少で同16.4%減の7万6340台と5カ月連続のマイナスとなった。

 三菱自動車のグローバル生産は、同12.9%減の10万1552台。6カ月連続で前年を下回った。海外は同17.9%減の5万3052台と5カ月連続のマイナス。主力工場であるタイが同5.5%減とマイナスだったことに加えて、中国が同97.0%減の240台。中国の減少幅としては日系メーカーで最大となった。国内は「デリカD:5」や「エクリプスクロス」などの減少により、同6.7%減の4万8500台と7カ月連続の減少だった。

 スズキは、グローバル生産が同5.2%減の25万4026台と2カ月連続で減少した。国内は完成検査問題によりラインスピードを落としたことに加えて、軽自動車販売の減少などもあり、同1.3%減の7万7609台と10カ月連続の前年割れとなった。海外では、主力市場のインドが販売減少により同5.4%減と2カ月連続のマイナス。パキスタンも低迷し、海外トータルでは同6.8%減の17万6417台と2カ月連続で減少した。

 スバルのグローバル生産は、同14.7%増の9万1258台と4カ月連続のプラスとなった。国内は同22.1%増の5万7915台と4カ月連続の増加。2019年1月に「インプレッサ」や「フォレスター」に採用した電動パワーステアリングの不具合で多くの車種の生産を停止した反動により大幅な伸びを示した。海外は新型「レガシィ/アウトバック」がけん引し、同3.7%増の3万3343台と2カ月連続のプラスで、2月として過去最高を更新した。

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