EV増産をデジタルで支援、VWとシーメンスがEV工場のスマート化で協業:スマートファクトリー
ドイツのVolkswagen(VW)とSiemens(シーメンス)は2020年3月4日(現地時間)、VWの電気自動車(EV)増産に向け、スマート工場化で協業することを発表した。
ドイツのVolkswagen(VW)グループとSiemens(シーメンス)は2020年3月4日(現地時間)、VWの電気自動車(EV)増産に向け、スマート工場化で協業することを発表した。既にドイツのZwickau(ツヴィッカウ工場)においてEV生産ラインのデジタル化を推進しているという。
VWグループでは2025年までに150万台のEV生産を行う計画で、生産能力の増強が大きな課題となっている。ツヴィッカウ工場はもともとガソリン車やディーゼル車の製造を行ってきたが、完全にEV専用の工場へと移行する計画である。2020年中に10万台のEVを生産し、2021年からは最大33万台の生産能力を持つ予定だ。これらを実現するために、ツヴィッカウ工場では大規模なデジタル化を進めている。生産プロセスの自動化の割合を高めるとともに、複雑さを軽減することを目指すためだ。
シーメンスでは、ツヴィッカウ工場のEV生産設備を提供し、既に2つの生産ラインで、機器とシステムを供給している。さらに汎用的にさまざまなモデルを大量生産するための自動化標準として第6世代のVASS(Volkswagen Audi Seat Skoda)規格の開発を支援したという。
VWグループのEVは、EV用プラットフォーム「MEB(モジュラー・エレクトリック・ドライブ・マトリックス)」をベースとしているが、MEBプラットフォームモデルの生産工場は、第6世代のVASS規格に基づいている。
VASS規格には、ハードウェアとソフトウェアを全て可視化した自動化ソリューションや、従業員のトレーニングとスキルアップ資料などが含まれている。VASS規格を活用することで、同一ラインでの複数の異なるモデルの大量生産を容易化する。また、VASS規格を活用することで、VWがツヴィッカウ工場以外でも、その工場の生産計画に従って、規模を調整できる。
ツヴィッカウ工場において最初に稼働したボディーショップと最終アセンブリの2つのラインでは既に実際のEV生産を開始している。次の生産ラインは現在構築中で2020年秋に運用を開始する。これらには、シーメンスの技術が活用されており、TIA(Totally Integrated Automaton)ポータル、Simaticコントローラー、HMI(Human Machine Interface)パネルと産業用PCなどが採用されているという。
これらの取り組みにより、自動化率は、最終アセンブリラインで17%から28%に向上した。さらに、ボディーショップラインでは85%から89%に高まり、自動化領域を広げることができたという。さらに、バリューチェーンのシームレスな統合にも取り組み、AGV(無人搬送車)を活用した搬送の自動化なども進めている。
シーメンスとVWは2019年4月に、シーメンスが“産業用OS”として推進するIoT基盤「MindSphere(マインドスフィア)」において協業を発表。VWが保有する122の工場全てでデータを収集するクラウド基盤としてマインドスフィアを採用する他、工場内で使用する機械/装置のメーカーなどとも協力し、マインドスフィアで活用する新たな機能やアプリケーションなどを共同開発する方針を示した(※)。
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