BMWグループとマイクロソフト、スマート工場の新たなプラットフォームを設立:製造マネジメントニュース
ドイツのBMWグループと米国マイクロソフトは2019年4月2日(現地時間)、開催中のハノーバーメッセ(2019年4月1〜27日、ドイツ・ハノーバーメッセ)でスマートファクトリーのプラットフォームを共同で展開する「Open Manufacturing Platform(OMP)」を発表した。
ドイツのBMWグループと米国マイクロソフトは2019年4月2日(現地時間)、開催中のハノーバーメッセ(2019年4月1〜27日、ドイツ・ハノーバーメッセ)でスマートファクトリーのプラットフォームを共同で展開することを目指した「Open Manufacturing Platform(OMP)」を発表した。
「OMP」は、BMWグループが既に展開する独自のIoTプラットフォームをベースに開発。BMWグループのIoT基盤では現在3000台以上の機械やロボット、自律搬送システムが接続され、この基盤をベースに工場などの運用を行っている。これらの実績をベースとして、標準的な技術により、外部企業でも利用可能としたのが「OMP」である。
「OMP」は、マイクロソフトのクラウド基盤である「Microsoft Azure」上に構築。データモデルを標準化するように設計されており、今まで独自のシステムで管理されていたデータの分析や機械学習を可能とする。産業用ユースケースとサンプルコードを活用することで、コミュニティーメンバーやその他のパートナーは、自社データへの管理権限を保ちつつ、サービスやソリューション開発が容易に行える。
BMWグループでは「OMPコミュニティー」に向け、既にユースケースを提供する予定だとする。1つの例として、BMWグループがドイツのレーゲンスブルク工場などで活用する、自律輸送システムのIoT基盤を提供予定だという。このユースケースでは、BMWグループの物流プロセスが、輸送システムの集中的な調整により簡素化され、効率を大幅に改善できたという。
今後は、このユースケースはもちろん、デジタルフィードバックループやデジタルサプライチェーンマネジメント、予測メンテナンスなど、さまざまなユースケースが用意される予定だという。
現在、より広範囲の「OMPコミュニティー」の形成を進めており、パートナー募集が行われている。まず初期パートナーとして4〜6社で運営を開始し、2019年末までにユースケースが最低15件展開されることを見込む。BMWグループとマイクロソフトでは、自動車産業以外の企業も含め、さまざまな製造業者やサプライヤーにコミュニティーへの参加を呼び掛けていくとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 未来の工場像を“描く”ことを訴えたシーメンス、マインドスフィアはVWが採用へ
ドイツのSiemens(シーメンス)は2019年4月1日(現地時間)、ハノーバーメッセ2019でプレスカンファレンスを実施し、新しい技術群によりインダストリー4.0などで描かれるコンセプトがさらに拡張していけることを訴えた。 - 製造業がデジタル変革で実現すべき3つのポイントとは――マイクロソフトの提案
日本マイクロソフトは製造業を取り巻く環境が大きく変化する中、「Factory of the future」「Product as a Service」「Intelligent Supply Chain」の3つの方向性での取り組みを進める方針を示した。 - 工場自動化のホワイトスペースを狙え、主戦場は「搬送」と「検査」か
労働力不足が加速する中、人手がかかる作業を低減し省力化を目的とした「自動化」への関心が高まっている。製造現場では以前から「自動化」が進んでいるが、2019年は従来の空白地域の自動化が大きく加速する見込みだ。具体的には「搬送」と「検査」の自動化が広がる。 - 自律するスマート工場実現に向け、IoTプラットフォーム連携が加速へ
製造業のIoT活用はスマート工場実現に向けた取り組みが活発化している。多くの企業が「見える化」には取り組むが、その先に進むために必要なIoT基盤などではさまざまなサービスが乱立しており、迷うケースも多い。ただ、これらのプラットフォームは今後、連携が進む見込みだ。 - 見えてきたスマート工場化の正解例、少しだけ(そもそも編)
製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。本連載では、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについて、話題になったトピックなどに応じて解説します。第28回となる今回は、スマート工場化において見えてきた正解例について前提となる話を少しだけまとめてみます。 - スマートファクトリーはエッジリッチが鮮明化、カギは「意味あるデータ」
2017年はスマートファクトリー化への取り組みが大きく加速し、実導入レベルでの動きが大きく広がった1年となった。現実的な運用と成果を考えた際にあらためて注目されたのが「エッジリッチ」「エッジヘビー」の重要性である。2018年はAIを含めたエッジ領域の強化がさらに進む見込みだ。