NECとシーメンスが協業、IoTデータの収集から分析までを全て“自動”で実現:製造ITニュース
NECは2020年3月9日、シーメンスとIoT領域において協業し、シーメンスのIoT基盤「MindSphere」とNECのAI技術「インバリアント分析技術」を組み合わせた監視・分析ソリューションの提供を開始したことを発表した。
NECは2020年3月9日、シーメンスとIoT(モノのインターネット)領域において協業し、シーメンスのIoT基盤「MindSphere」とNECのAI(人工知能)技術「インバリアント分析技術」を組み合わせた監視・分析ソリューションの提供を開始したことを発表した。
NECの「インバリアント分析技術」は現在までに国内外で約100システムの導入を実現したAI関連技術である。大規模で複雑なシステムに設置された多数のセンサーから収集したデータを基にシステムの振る舞いを自動的に学習しモデル化する。複雑な仕組みでもモデル化できるため、熟練者のノウハウなどもデータ化し可視化できる。また、作成したモデルを利用し、監視することで異常予兆を検知することも可能だ。
一方、シーメンスのクラウドベースのオープンIoTオペレーティングシステム「MindSphere」は、プラントやシステム、産業機械などをつなげ、センサーから収集される膨大なデータを活用するデジタル基盤である。パートナーエコシステムを展開し、パートナーと協力してアプリケーションやサービスのさらなる充実を推進している(※)。
(※)関連記事:産業用IoTのOS目指す「マインドスフィア」の現在地
今回、両社が協業することで、データの収集から蓄積、監視や分析までを総合的に提供することが可能となる。具体的には、シーメンスの「MindSphere」で現場のセンサーデータを収集、蓄積し、NECのインバリアント分析技術で監視や分析までを自動で行う。
まずは製造業向けにクラウドソリューションとして提供を開始し、工場のシステムや製造ライン、プラントなどの設備やそれらの設備を用いて生産される製品へ展開する。
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