富士通がDXコンサルの新会社を設立、戦略策定から運用まで一気通貫で支援:製造マネジメントニュース
富士通はDX実現に向けた戦略設計からシステム運用までを一気通貫で支援する新会社RidgeLinezを設立する。DX事業を加速させるため外部人材の幹部登用も行う。
富士通は2020年3月9日、デジタルトランスフォーメーション(DX)実現のためのコンサルティングからシステムの開発、運用までを一気通貫で支援する新会社、Ridgelinezの設立に関する説明会を開催した。事業開始日は同年4月1日を予定している。
Ridgelinezの代表取締役社長には、PwCコンサルティング 副代表執行役を務めた今井俊哉氏が就任する予定だ。同氏はRidgelinezの事業内容について「従来、富士通グループを含めて多くのICT企業は、DXビジネスの中でも業務プロセスのアーキテクチャ設計やオペレーションシステム開発といった分野を得意としており、これらの事業展開を推進してきた。だが、システムの設計や開発はDX実現にむけたステップのごく一部にすぎない。Ridgelinezでは顧客の価値創造をEnd to Endで支援するため、DXで解決すべき顧客課題の発見から、開発したシステムを運用するまでの一連のプロセスをトータルで支援する体制を整えようとしている」と説明した。
具体的には流通、製造業、金融などの各業界に精通した専門コンサルタントらで構成されたチームが、顧客企業のニーズを把握してDXの目標を設定し、DXを実現するために新たに求められることになる業務プロセスやIT活用のアプローチを提示する。その上で実現性の高いシステム設計、開発のプランを提案し、システムのプロトタイプ実装から運用支援までを行う。なお、これらのサービスの提供に当たっては、富士通グループ以外のSI(システムインテグレーター)、ITサービスベンダーやコンサルティングファーム、ソリューションベンダーとのアライアンス締結も視野に入れているという。
また富士通は、DXビジネスの事業展開を推進するため経営体制を変革すると発表した。富士通 執行役員 常務にはインフォシスリミテッド 日本代表を経験し現在富士通 理事を務める大西俊介氏、M&A戦略担当 理事にはマッキンゼー グローバルディレクターを務めたニコラス・フレイザー(Nicholas Fraser)氏、CMO(最高マーケティング責任者)には日本マイクロソフト 業務執行役員パートナー事業本部でパートナーマーケティング本部長を務めた山本多絵子氏、CIO(最高情報責任者)兼CDXO(最高DX責任者)にはSAPジャパン 代表取締役社長を務めた福田氏がそれぞれ新しく就任する。
Ridgelinezの今後の事業展開について今井氏は「2、3年のうちに200億円規模の会社に成長させ、1000億円前後のインパクトで富士通グループに貢献できるようにしたい」と語る。将来的には海外での事業展開も視野に入れるが、設立初年度は国内に専念するという。
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