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自動車メーカーの2019年のグローバル生産、販売を振り返る自動車メーカー生産動向(3/3 ページ)

日系乗用車メーカー8社の2019年の生産実績は、トヨタ自動車とダイハツ工業の2社が過去最高となり、年間世界生産台数の記録を更新した。一方、その他の6社は前年実績を割り込んだ。販売ウエートの大きな中国や東南アジアなどの市場が低迷する中、唯一国内販売が好調だったトヨタグループ2社が生産台数でも伸長しており、改めて国内市場の重要性を示した結果ともいえそうだ。

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2019年の世界販売、前年比プラスはトヨタとVWのみ

 2019年の自動車メーカー世界販売ランキングは、フォルクスワーゲン(VW)グループが4年連続で首位を維持した。2位はトヨタグループで、3年ぶりに順位を上げた。3位はルノー・日産自動車・三菱自動車の3社連合で、三菱自動車が過去最高を更新したものの、ルノーと日産が苦戦した。トップ10で前年実績を上回ったのはVWとトヨタの2社にとどまるなど、世界的な自動車市場の低迷がうかがえる結果となった。

自動車メーカーの世界販売ランキング(2019年)
メーカー 台数 前年比
1位 VWグループ 1097万台 1.30%
2位 トヨタグループ 1074万台 1.40%
3位 ルノー/日産/三菱 1016万台 ▲5.6%
4位 GM 772万台 ▲8.0%
5位 現代グループ 724万台 ▲2.2%
6位 フォード 539万台 ▲10.0%
7位 ホンダ 518万台 ▲1.1%
8位 FCA 442万台 ▲8.8%
9位 PSA 349万台 ▲6.6%
10位 ダイムラー 334万台 ▲0.2%

 主要な地域の販売台数を分析すると、最大市場である中国が前年比8.2%減の2577万台と2年連続の前年割れとなった。中国経済の低迷が続いており、前年比2.8%減となった2018年から減少幅が拡大した。中国に次ぐ市場規模の米国は、同1.2%減の1710万台と2年ぶりに減少した。低金利や販売奨励金などの拡販要因もあったものの、米中貿易摩擦による景気減速に加えて、GM(General Motors)の工場でのストライキや販売ボリュームの大きいセダン系モデルの低迷などが影響して前年割れとなった。欧州連合(EU)加盟27か国の乗用車販売は、同1.2%増の1534万台と6年連続でプラスだった。

 世界販売ランキングのトップ10は、18年と同じ顔ぶれが占めた。順位が変わったのはトヨタとルノー連合のみだった。VWとトヨタを除く8社が前年割れで、GM、フォード・モーター、フィアット・クライスラー・オートモビルズ(FCA)のマイナスが目立つ。中でもフォードは唯一2桁減だった。

VWグループとトヨタグループが過去最高

 企業別では、首位のVWグループ(アウディ、ポルシェなど含む)が同1.3%増の1097万台と4年連続でプラスとなり、最高記録を更新した。トップシェアを握る中国は同0.6%増の423万3600台を販売。全需が低迷する中、新型SUVの拡充などにより微増を確保した。欧州も同3.9%増の455万2800台と好調に推移した。

 トヨタも好調だ。ダイハツ工業と日野自動車を含めたグループ販売台数は、同1.4%増の1074万台と4年連続のプラスで、VW同様に過去最高を更新。5年連続で1000万台を維持した。市場低迷する中国で同9.0%増を達成した他、米国では得意とするセダン系の販売が厳しい中、RAV4や「タコマ」の拡販などにより減少率を同1.8%にとどめた。

 一方、ルノー連合は厳しい結果となった。16年の3社連合設立以来となる1000万台ラインは維持したものの、同5.6%減の1016万台にとどまった。アライアンスの稼ぎ頭だった日産が北米をはじめすべての地域で低迷し、同8.4%減の518万台だった。ルノーも不調で同3.4%減の375万台。三菱自動車が同0.5%増の123万台とアライアンスで唯一プラスを確保するとともに過去最高を更新した。

4位以下は苦戦が目立つ

 4位のGMは同8.0%減の772万台で、3年連続のマイナス。最多市場の北米で同3.5%減とマイナスだった他、北米に並ぶ規模の中国が同15.1%減と大幅減となったことが響いた。5位の現代自動車グループ(起亜自動車含む)は同2.2%減の724万台。起亜は282万台と前年並みを維持したものの、現代が同3.6%減の442万台と低迷した。6位のフォードは同10.0%減の539万台で、3年連続の前年割れとなった。主要地域の北米と欧州が低迷した他、中国が米中貿易摩擦により大幅に減少したことが要因だった。

 7位のホンダは同1.1%減の518万台と2年連続の前年割れとなった。インドや東南アジアで低迷したものの、好調の中国が同8.5%増の155万台と過去最高を記録。アジア全体では同0.8%増の223万台と2年ぶりのプラスを確保した。北米はCR-Vや「HR-V」などSUVがけん引したものの、セダン系の低迷をカバーしきれず、同0.7%減の189万台にとどまった。日本ではN-WGNの電動パーキングブレーキの不具合による生産停止などの影響により、同3.4%減の72万台と3年ぶりの前年割れとなった。10位のダイムラーは、メルセデス・ベンツの乗用車部門が好調で過去最高を更新したものの、商用車部門の不調などによりトータルでは微減となった。

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