商品力低下でグローバル販売が8%減、日産の2019年4〜12月期決算:製造マネジメントニュース
日産自動車は2020年2月13日、2020年3月期第3四半期(2019年4〜12月期)の決算を発表した。
日産自動車は2020年2月13日、2020年3月期第3四半期(2019年4〜12月期)の決算を発表した。
売上高は前年同期比12.5%減の7兆5073億円、営業利益は同82.7%減の543億円、当期純利益は同87.6%減の393億円となった。売上高営業利益率は0.7%だ。売り上げ減少の主な要因は販売台数の減少で、2019年4〜12月期のグローバルでの販売台数は前年同期比8.1%減の369万7000台だった。全体需要の減少に加えて、商品の車齢(全面改良までの期間)が高くなり商品力が低下していることが影響し、中国以外の各地域で販売が苦戦した。
2020年3月期通期の業績見通しは下方修正し、売上高は前回の予想から3.8%減の10兆2000億円、営業利益は同43.3%減の850億円、当期純利益は同40.9%減の650億円とした。前年度比では売上高が11.9%減、営業利益が73.3%減、当期純利益は79.6%減の減収減益となる。グローバル販売台数は、前回の見通しから3.6%減の505万台を見込む。
これらの見通しに新型コロナウイルスの感染拡大による生産や販売への影響は織り込んでいない。日産自動車 社長の内田誠氏は「中国で2月半ばまで生産できないのは影響が大きい」とコメントした。中国国内の生産拠点は3カ所が2月17日以降、2カ所が2月20日以降に稼働を再開する予定だ。日本でも生産調整を実施しているが、3月に稼働を振り替えて挽回したい考えだ。
2022年度までの中期経営計画の見直しも進めており、足元の業績を踏まえて修正した計画を2020年5月に発表する。
中国以外で販売減、想定を下回る
地域別の販売動向を見ると、日本では消費増税や台風の影響などにより全体需要が前年同期よりも減った。他社が新型車を投入する一方で、日産自動車の商品は車齢が高くなっていることが影響し、日本の販売台数は前年同期比6.9%減の38万1000台となった。2019年3月に発売した軽自動車「デイズ」が累計で7万台を超えた他、ハンズオフ対応の運転支援システム「プロパイロット2.0」を採用した「スカイライン」の新モデルが好評だったとしている。
ロシアを含む欧州では、「ジューク」「NV250」などの新型車への切り替えによる一時的な販売減少や、「キャシュカイ」や「エクストレイル」の小型エンジンへの転換遅れが影響したとし、前年同期比16.2%減の39万5000台となった。米国は前年比9.1%減の98万台にとどまった。販売諸費用の削減は進めたが、車齢が上がっていることで商品力が低下しており、販売が伸びなかった。アジアやオセアニア、中南米、中東、アフリカなどその他の市場も、前年同期比11.5%減の54万7000台で減少した。
中国では、全体需要が10.7%減のマイナスだったが、日産自動車は前年並みの販売台数で109万1000台を確保した。エクストレイルやキャシュカイ、「シルフィ」が販売をけん引した。
2019年4〜12月期の減収減益は、販売台数が想定を下回ったことの影響が大きい。前年同期と比べた営業利益の増減を見ると、販売面では販売費用の改善があったものの、台数減や構成の変化で1276億円の減益となった。さらに、為替の影響で503億円減、規制対応や商品力の向上で581億円減、原材料や関税で265億円減とマイナス要因が積みあがった。研究開発や生産の費用は370億円増だったが、購買コストは772億円削減した。内田氏は「業績立て直しに向けた固定費の削減はしっかりできている」とコメントした。
中計も進行中
課題となっているモデルチェンジまでの期間の長期化は、2020年度の後半から大幅に改善する計画だ。北米では新型SUVを投入、新興国向けは小型セダンやクロスオーバー、日本向けは電気自動車やe-POWER搭載クロスオーバーの新モデルを展開する。北米を例にすると、新型車8車種を投入し、現在5.2年の車齢を3〜3.5年に下げる。「日産が既に市場で価値を出している車種」(内田氏)を軸に、新型車を投入する。
並行して、事業や投資効率の適正化も進めている。生産能力の合理化や生産ラインの効率改善は予定通りに進捗しているとしており、計画の遂行フェーズに移るという。商品ラインアップの10%以上の削減による合理化も予定通りだとし、インドネシアにおけるダットサンブランドの終了や不採算商品の打ち切りを進めている。強みをもつ技術や車種、地域への集中を推進する。追加の合理化策についても検討中だという。
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