日産が海外で2022年までに1万2500人削減、小型車やダットサンの工場が対象に:製造マネジメントニュース
日産自動車は2019年7月25日、横浜市の本社で記者会見を開き、2019年4〜6月期(2020年3月期第1四半期)の決算と2022年に向けた事業改革の最新状況を発表した。
日産自動車は2019年7月25日、横浜市の本社で記者会見を開き、2019年4〜6月期(2020年3月期第1四半期)の決算と2022年に向けた事業改革の最新状況を発表した。
事業の改革方針「NEW NISSAN TRANSFORMATION」では、2022年に売上高14.5兆円、営業利益率6.0%以上を達成する計画だ。この目標に向けて3000億円の固定費削減を進め、「過去に投資した分の整理と、今後の投資の選択と集中の両方で効率化を図る」(日産自動車 取締役社長の西川廣人氏)。
2019年4〜6月期の売上高は前年同期比12.7%減の2兆3724億円、営業利益が同98.5%減の16億円、当期純利益は同94.5%減の64億円だった。為替や規制対応、原材料費などのコストもかさんだが、販売減少によって営業利益は前年同期から724億円減となるなど大きく響いた。販売台数は欧州が前年同期比16.3%減、北米が3.7%減、日本が2.6%減となった。中国は増加した。西川氏は「販売の正常化は進んでいて、結果として第1四半期(2019年4〜6月期)の売り上げの厳しさは想定していた。ただ、小売りのペースが想定をやや下回った。第2四半期以降で想定を下回った分は十分に挽回できる」と述べた。
2019年度の業績は、売上高が前年比2.4%減の11兆3000億円、営業利益が同27.7%減の2300億円を見込む。営業利益率は2.03%となる見通しだ。
小型車とダットサンで生産能力削減、モデル打ち切りも
固定費3000億円の削減は、生産能力の削減と、収益性の低いモデルの打ち切りによって進める。今後の成長に向けた投資は継続し開発費は2018〜2019年の水準と比較して10%増やす。回収が期待できない分野のコストを減らし、固定費の総額は2022年も現状維持となる見込みだ。中国を含めたグローバルでの生産能力は、2018年度の720万台から2022年度までに660万台まで削減する。これにより、稼働率は現状の69%から86%に高まる。「中国は今も将来もフル稼働で、それ以外の地域で生産能力を落とす。年間5000時間の最大稼働を前提にしているので、稼働率86%はなかなかいい数字ではないか」(西川氏)。
すでに2018〜2019年度にインドネシアやスペインなど海外8カ所の工場で生産能力削減を実施したが、2020〜2022年度にさらに海外6カ所の工場でも生産を見直す。複数ある生産ラインの数を絞ったり、工場全体の稼働を止めたりする。工場の直接、間接人員を対象に「労働力の人員で測ると6400人分の仕事を削減した。2022年度までに合計1万2500人分に相当する仕事を削減する」(西川氏)。
人員削減は海外生産拠点で行い、「(生産能力を落とすことと)日本のキャパシティを上手く使うことは別の問題」(西川氏)だと述べた。対象となるのは2016年度までの中期経営計画「日産パワー88」の一環で小型車向けに投資した拠点だ。同中計では、中国、北米、ブラジル、ロシア、インドで生産能力向上に投資する方針だった。「具体的な国や地域については明らかにできない。ダットサン、小型車、海外拠点、パワー88というキーワードから見当がつくのではないか」(西川氏)。
小型車やダットサンブランドはモデル打ち切りの対象でもあり、すでに具体的に決まってきているという。モデル数で10%減らす。収益性の低さや、収益改善が見込めないことが打ち切りの理由となる。
2022年の米国事業の在り方は
2022年に売上高14.5兆円、営業利益率6.0%以上を達成するには、営業利益面で3000億円分の事業と投資の適正化、1800億円の成長が必要になる。この3000億円と1800億円のうち40%は米国で改善しなければならない。西川氏は「3000億円の改善は9割がたメドがついている。1800億円は着実な成長を積み重ねるしかない」と述べた。
2022年の米国事業は、インフィニティブランドを含めて140万台で収益が出る状態にしたい考えだ。今後、規制の強化によって「米国のクルマを作るコストは増えていく。営業利益率を現状から4ポイント改善して6%に戻すのは、増販ではなく、フリート(卸売り)からリテール(小売り)に切り替えて販売経費を改善することだ。開発コストの増大を固定費削減で相殺し、米国の営業利益率を6%に持っていきたい」(西川氏)と述べた。
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