製造業のIoT活用、大手企業だけでなく中小企業でも拡大傾向:製造業IoT(2/2 ページ)
JMACは「第5回 ものづくりIoT実態調査」の調査報告を行った。2019年に引き続き、IoTで工場の課題解決に取り組む企業が増加した。取り組みは中小企業の間でも拡大傾向にある。
工場のスマート化に一律の答えはない、自社の課題の絞り込みを
「II.最適化」においては、工場の機能を中心に最適化を検討する企業が多いことが分かった。最適化領域を「設計」「生産管理」「製造」「営業」の4領域に分けて、各領域の優先度について尋ねた。その結果、「製造」を最優先とした回答が58%、次いで「生産管理・物流」が25%となり、製造プロセスの最適化に対する関心の高さが示された。一方で、「設計」は16%、「営業」は3%という結果だった。
松本氏は「昔、生産の多品種少量化が進んだ時、海外ではマーケットニーズの分析や需要予測の精度向上に取り組んだが、日本は『どれだけ多品種少量化を達成できるか』というモノづくりの方面での取り組みに注力した。同じように、日本において工場のスマート化はモノづくり、シーズ側から進んでいくのではないか」と予測した。
ただ調査からは、自社の課題を絞り切れないまま最適化の検討を進めている企業の姿も浮かび上がる。前述の4領域「開発」「生産管理・物流」「製造」「営業」のそれぞれに対してより具体的な改革ポイントを提示し、取り組みの必要性を尋ねた。その結果、ほとんどの項目において、「必須」もしくは「重要」とする回答が80%〜90%に達した。
松本氏は「回答者は大体の項目に『必須』や『重要』と答えていた。しかし、一口にスマートファクトリーと言っても一律の答えはない。そのため、『スマート化が自社の事業や企業にどういう成果を及ぼすのか』をしっかり考えなければならない。導入を検討している企業は、自社の課題を鮮明化する必要がある」と指摘した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「データ2.0」時代は製造業の時代、東芝が描くCPSの意義と勝ち筋とは
MONOist、EE Times Japan、EDN Japan、スマートジャパン、TechFactoryの、アイティメディアにおける産業向け5メディアは2019年12月12日、東京都内でセミナー「MONOist IoT Forum in 東京」を開催した。前編で東芝 執行役常務 最高デジタル責任者(Chief Digital Officer)の島田太郎氏による基調講演「東芝のデジタル戦略、CPSテクノロジー企業への道」の内容を紹介する。 - オムロンが工場実践を通じて語る、IoTや5Gの「現実的価値」
MONOist、EE Times Japan、EDN Japan、スマートジャパン、TechFactoryの、アイティメディアにおける産業向け5メディアは2019年12月12日、東京都内でセミナー「MONOist IoT Forum in 東京」を開催した。後編では、オムロン インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー 企画室 IoTプロジェクト 部長の小澤克敏氏による特別講演と、日本OPC協議会 マーケティング部会 部会長の岡実氏によるランチセッション、その他のセッション内容について紹介する。 - 「大事なのはIoTではない」自動化と熟練の技による“夢工場”目指すオークマ
MONOist、EE Times Japan、EDN Japan、スマートジャパンの産業向け4メディアは2019年7月10日、名古屋市内でセミナー「MONOist IoT Forum 名古屋」を開催した。本稿の前編では、オークマ 専務取締役 領木正人氏による基調講演「IoTが拓く“スマートファクトリー”の展望」の内容をお伝えする。 - デジタルツインでサプライチェーンをシームレスにつなぐ、商機は“際”にあり
「Hitachi Social Innovation Forum 2019 TOKYO」のセミナーに日立製作所 インダストリー事業統括本部 CSOの森田和信氏が登壇。『デジタルで「際」の課題を解決するトータルシームレスソリューション〜ロボティクスSIによる4Mデータ活用のさらなる高度化〜』をテーマに講演を行った。 - デジタル社会における人と機械の新たな関係、日本のスマート製造はどうあるべきか
「Hitachi Social Innovation Forum 2019 TOKYO」のセミナーに日立製作所 研究開発グループ 生産イノベーションセンタ 主管研究長の野中洋一氏が登壇。「スマート製造の国際動向、求められる人と機械の新たな関係」をテーマに講演を行った。 - なぜ東芝はデータ専門子会社を作ったのか
東芝は2020年2月3日、データを価値ある形に変え、実社会に還元する事業を行う新会社として「東芝データ」を設立したことを発表した。なぜ東芝はデータ専門子会社を設立したのだろうか。設立会見の質疑応答などの様子をお伝えする。