3つの断トツをデジタルで融合、ブリヂストンは「T&DPaaS」でコト売りに移行する:製造業がサービス業となる日(2/2 ページ)
ブリヂストンが主力商材のタイヤを商品の売り切りではなくサービスとして提供していくためのビジネスプラットフォーム「Bridgestone T&DPaaS(Tire & Diversified Products as a Solution)」について説明。「ダントツの商品とサービス、拠点ネットワークをデジタル技術で融合し、ソリューションとして顧客に提供していく」という。
欧州を中心に約90万台の車両からデータを収集
T&DPaaSでは、デジタルを活用したサービスとして、センサーを用いてタイヤの空気圧や温度をリアルタイムで遠隔モニタリングするシステム「tirematics」、車両や装着タイヤ、点検結果など顧客のタイヤに関する情報を管理するプラットフォーム「Bridgestone toolbox」、2012年に買収したリトレッドタイヤの製造、品質、在庫などを管理するツール「basys」、そして新たに傘下に収めたWebfleet Solutionsが欧州の運送業者向けに展開する、ドライバーや運行状況などのデータ管理により安全性、効率性、生産性の向上に貢献するソリューションなどがある。
特に、Webfleet Solutionsについては、欧州を中心に約90万台の車両からデータを収集しており、それらのデータ解析によって安心・安全運行、TCO(Total Cost of Ownership)削減、環境、予防保全、コンプライアンス順守などの価値を提供できている。
今後は、Webfleet Solutionsで得られている知見を、T&DPaaSとしてどのようにグローバルに展開していくかが課題となる。高城氏は「現在は、日本をはじめとする各市場で、それぞれのサービスをどのように展開できるかを調査している段階だ。ただし、これからはモノ売りではなくコト売りになっていくことだけは確かだ。顧客に向けて、しっかりと価値を提供できるようにしていきたい」としている。
商用車向けの新製品も発表
なお、会見では、T&DPaaSの基礎となる「断トツの商品」を支える商用車向けの新製品として、摩耗寿命を従来比で20%向上したオールシーズンタイヤ「M888」、転がり抵抗を従来比で32%削減した第5世代の低燃費タイヤ「ECOPIA M801II」、通常は2本使うリアタイヤをシングル化できる「ECOPIA M801II」も発表した。
会見で発表した3つの新製品。左から、「M888」「ECOPIA M801II」「ECOPIA M801II」。後ろにいるのは、ブリヂストンの高城知行氏(左)とブリヂストンタイヤジャパンの末松聡氏(右)(クリックで拡大)
ブリヂストンタイヤジャパン 執行役員 生産財タイヤソリューションビジネス開発本部長の末松聡氏は「国内輸送の9割はトラックに依存しているが、ドライバー不足は深刻な状況にある。その一方で、ネット販売の普及で宅配便の取扱個数は増加している。これら国内輸送業者の課題解決に向けて、今回の新商品とともに、リトレッドなどサービスや拠点ネットワークを生かした『Tire Solution』を展開していく。このTire Solutionは、T&DPaaSと同じ考え方に基づくものだ」と述べている。
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