日常生活から認知機能の変化を早期発見、介護施設で研究開始:医療機器ニュース
パナソニックは、国立循環器病研究センターと共同で、軽度認知障害の早期発見に関する研究を開始する。IoT基盤システムを通してデータを収集し、日常生活の行動特徴と認知機能の変化の相関性について分析する。
パナソニックは2019年1月21日、社内カンパニーのパナソニック ライフソリューションズ社とグループ会社のパナソニック エイジフリーが国立循環器病研究センターと共同で、軽度認知障害(MCI)の早期発見に関する研究を開始すると発表した。高齢者向け住宅にセンサーを設置し、日常生活における行動の特徴と認知機能の変化の相関性について分析する。
同研究は、パナソニックグループ運営のサービス付き高齢者向け住宅「エイジフリーハウス吹田健都プレミア」で実施する。居室のテレビやトイレにセンサーを設置し、使用時間、リモコン操作などを把握。ドアの開閉や電力使用の状況は、同社のIoT(モノのインターネット)基盤システム「AiSEG(アイセグ)」を通して収集し、日常生活を総合的に把握する。
取得したデータは匿名化し、定期的に医学的診断と照らし合わせながら、日常生活の特徴と認知機能の変化の相関性を多角的に分析する。継続的に分析することで、医学的エビデンスに基づいたアルゴリズム開発を目指す。
また、住宅設備や時間帯ごとに自動で光の色、明るさが変化する照明など、施設環境が入居者に与える効果の検証とエビデンス構築も進める。
認知機能低下の初期段階であるMCIは、早期発見と適切な対応で認知機能低下の進行を遅らせることができるとされる。同社は今回の研究を通じて、認知機能の評価システムやサービス開発に取り組む。
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