複数の機能を持つパーツを一体造形できる技術で、ロボット部品の製造変革を:3Dプリンタニュース
Booleanは、東大発ベンチャーのNature Architectsと事業提携し、3Dプリンティング/アディティブマニュファクチャリングと、DFM(Direct Functional Modeling)を組み合わせたモノづくりプロセスの構築支援を開始すると発表した。
3Dプリンタ活用のコンサルティングなどを手掛けるBooleanは2019年12月24日、東大発ベンチャーのNature Architectsと事業提携し、3Dプリンティング/アディティブマニュファクチャリングと、DFM(Direct Functional Modeling)を組み合わせたモノづくりプロセスの構築支援を開始すると発表した。
まずは、ロボットアームなどの先端に取り付けるエンドエフェクタの設計/製造自由度の向上や、協働ロボットに求められるパーツ軽量化などに取り組むという。
DFMとは、Nature Architectsが開発する設計技術で、パーツごとにさまざまな機能要件が求められるプロダクトを、複数の部材に分けることなく一体でデザインし、出力するもの。Nature Architectsが独自に蓄積した構造ライブラリ「CRUST」を活用することで、複雑な造形物に対して直観的に機能を割り当て、その結果を一体の造形物として出力できる。
今回の事業提携では、Booleanの強みであるDfAM(Design for Additive Manufacturing)に関する体系的な知見とネットワーク、そして、Nature ArchitectsのDFMを組み合わせることで、3Dプリンティングにしか実現できないさまざまな機能部材の製造およびそのプロセスの提供を行うとする。既に、福岡県内の製造企業とロボットを題材とした共同開発が進行中だという。
両社は、3DプリンティングとDFMの可能性について、既存の製造プロセスを大きく変革するものだとし、今回の事業提携を皮切りに、ユーザビリティの向上やナレッジの蓄積を進め、迅速な世界展開を目指すとしている。
※2020年1月9日:記載内容の一部に誤りがございました。お詫びして訂正いたします。
関連記事
- 単一素材から多様な触感を表現するデータ設計技術を開発
慶應義塾大学SFC研究所は、3Dプリンタを用いて触感、通気性、重量を自在に変化させられる単位格子と、それを連続的に分布させ、形状内部に配置できるデータ設計技術を開発した。 - ブリヂストンが3Dプリント製コンセプトタイヤを提案、新素材「SUSYM」で実現
ブリヂストンは「第46回東京モーターショー2019」に出展し、ゴムと樹脂を分子レベルで結び付けた「世界初」(同社)をうたうポリマー「SUSYM(サシム)」を用いた3Dプリント製コンセプトタイヤを参考出品した。 - ディスペンサーノズルの異業種応用、リスクの少ない乳房再建技術の実現に貢献
テクダイヤは、特殊加工を施した同社のディスペンサーノズル「ARQUE」が、ドイツのBellasenoが開発中の3Dプリンタに採用され、乳がん手術における乳房再建技術の開発に貢献したことを発表した。 - 3Dプリンタ初の液状ゴム材料、射出成形と同等物性で量産にも対応
ダウ・東レは、「第1回 次世代3Dプリンタ展(2019年2月6日〜8日、東京ビッグサイト)」で、3Dプリンタ用液状シリコンゴム「SILASTIC 3D 3335 Liquid Silicone Rubber」を紹介した。同材料は射出成形品と同等の物性を持つことが特徴で、量産製品にも対応可能だ。 - いまさら聞けない 3Dプリンタ入門
「3Dプリンタ」とは何ですか? と人にたずねられたとき、あなたは正しく説明できますか。本稿では、今話題の3Dプリンタについて、誕生の歴史から、種類や方式、取り巻く環境、将来性などを分かりやすく解説します。 - 3Dプリンタは臨界点を突破したのか
新たなモノづくりの姿を示す象徴として「3Dプリンタ」は大きなムーブメントを巻き起こしている。しかし、3Dプリンタそのものは既に1980年代からある技術で過去には夢を追いつつも突破できない壁があった。かつての研究の最前線から今のムーブメントはどう見えるのか。東大名誉教授で現在は世界最大のEMSフォックスコンの顧問も務める中川威雄氏に話を聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.