分解能1nmで膜厚を測定できる、キヤノンITSがハイパースペクトル画像事業に注力:産業用画像技術(2/2 ページ)
キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)は、ハイパースペクトル画像処理ソフトウェアを手掛けるドイツのLuxFluxと販売代理店契約を締結したと発表した。2019年12月上旬から同社製品の国内販売を始める。販売開始から3年後となる2022年の売上高目標は1億円。
波長の干渉性を活用した厚み測定も可能
LuxFluxの製品は、これに加えて、波長の干渉性を活用した半導体、フィルム、コーティングや塗布の厚み測定が可能だ。キヤノンITS エンジニアリングソリューション事業部 エンジニアリング技術第二本部 シニアアプリケーションスペシャリストの稲山一幸氏は「半導体ウエハー上に形成した薄膜の厚みを0.05%の分解能で計測できる。例えば半導体ウエハーの厚さが2000nm(2μm)とすれば、分解能は1nmになる」と強調する。
さらにLuxFluxの製品は、単にハイパースペクトル画像の処理を行うだけでなく、作成した画像処理モデルをハイパースペクトルカメラを用いたマシンビジョンシステムに組み込むためのランタイムも提供している。製品ラインアップは、ハイパースペクトル画像の処理と画像処理モデルの開発に用いる「fluxTrainer」、fluxTrainerにリニアステージ制御機能を追加した「fluxTrainer Pro」、fluxTrainerで開発した画像処理モデルをマシンビジョンシステムで動作させるランタイム「fluxRuntime」の3つ。全てオープンプライスだが、参考価格はfluxTrainerが113万円、fluxTrainer Proが170万円、fluxRuntimeが128万円。
キヤノンITS エンジニアリングソリューション事業部 エンジニアリング技術第二本部 企画部 企画課 課長の福西秀次氏は「既存のSIパートナーの他、画像専門商社のチャネルを活用して拡販する。画像ビジネスに造詣の深い新SIパートナーも開拓していく。足元は、ハイパースペクトル画像処理ソフトウェアのみの販売だが、ハイパースペクトルカメラなども手掛けることを検討しており、国内におけるHSI技術関連の市場創出に貢献したい」と意気込む。
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