高い品質にあぐらをかかないOKI、本庄工場と沼津工場の仮想融合も推進:イノベーションのレシピ(2/2 ページ)
OKIは、自社グループにおける生産と品質に関わる改革・改善活動を表彰する「第9回OKIグループ生産・品質改革大賞」を実施。同大賞では、今回から品質向上活動にスポットを当てる「品質改善賞」の表彰を新設している。また最優秀賞は、本庄工場と沼津工場による「バーチャル・ワンファクトリ」が受賞した。
本庄工場と沼津工場を仮想融合、コスト削減効果は1億5000万円に
今回、最優秀賞を獲得したのは、情報通信本部傘下の本庄工場(埼玉県本庄市)と沼津工場(静岡県沼津市)が推進している、2つの工場を仮想的に1つの工場に融合していく「バーチャル・ワンファクトリ」に向けた取り組みだった。
両工場は2017年度から融合を推進しており、2019年度の両工場の生産高を合計した700億円規模を維持しながら、限界利益とスループットの最大化を目指している。融合施策は「部門間融合」「生産融合」「試作プロセス融合」「IT融合」という4つが柱になっている。
「部門間融合」では、生産、技術、品質の各部門で交流会を実施して両工場の“いいとこ取り活動”が浸透している。「生産融合」では、防衛関連機器を生産する沼津工場の繁忙期対策として本庄工場で生産を補完するなどしている。
「試作プロセス融合」では、試作開発を協力メーカーに依頼している本庄工場の案件を、沼津工場の試作プロセスでカバーする取り組みを実施している。情報通信本部では、IoT(モノのインターネット)を契機として試作開発件数が急増しており、その一部を沼津工場が担うことで納期短縮が可能になり、量産の垂直立ち上げにもつなげられたという。「IT融合」では、沼津工場で導入していた生産システム向けERPを、本庄工場を含めた北関東エリアのものに統合。これにより沼津工場での投資金額を3億円から1億円に抑えられた。
これら4本柱の融合施策によるコスト削減効果は約1億8600万円で、IT融合における投資金額3500万円を差し引いても約1億5000万円の融合効果が得られていることになる。金額には換算できないものの、部門間交流などによるつながりの強化も大きな成果だ。
両工場は2019年10月1日付で工場統合企画室を新設してバーチャル・ワンファクトリ化をさらに推進する構えだ。また、情報通信本部としてのバーチャル・ワンファクトリ化にとどまらず、得られた成果を横展開することで「OKIワンファクトリ」にも広げて行くとしている。
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