「カイゼン」と「デジタル化」の相性は良い、GEとOKIの場合:MONOist IoT Forum 東京(3)(1/3 ページ)
MONOistを含むITmediaの産業向け5メディアは、セミナー「MONOist IoT Forum in 東京」を開催した。同セミナーのレポートを3回に分けてお送りする。第3回はスマートファクトリートラックの講演内容をお伝えする。
MONOist、EE Times Japan、EDN Japan、スマートジャパン、TechFactoryの産業向け5メディアは2017年12月4日、都内でセミナー「MONOist IoT Forum in 東京」を開催した。東京での開催は2016年に続いて2回目となる(※)。
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本稿では、スマートファクトリートラックの講演内容について、特別講演のGEヘルスケア・ジャパン 製造本部本部長 工場長 藤本康三郎氏、沖電気工業(OKI) 執行役員 統合営業本部 第三営業本部長の宮澤透氏の講演を中心に紹介する。
デジタル化への移行を加速するGEグループ
GEヘルスケアジャパンの藤本氏は「工場デジタル化によるカイゼンの倍速化〜GE日野工場Brilliant Factotyの挑戦と取り組み〜」をテーマにGEヘルスケア 日野工場のデジタル化への取り組みを紹介した。
発明王トーマス・エジソン氏が創業者であるGEではここ数年、ハードウェア主体のテクノロジーカンパニーから「ハードウェアとソフトウェアを組み合わせたソリューションカンパニー」へと移行を加速している。この流れの中、ソフトウェア開発を中心としたGEデジタルを発足し、インダストリアルインターネット基盤として「PREDIX」を展開するなど、デジタルトランスフォーメーションに向けたさまざまな取り組みを進めている。
GEヘルスケア・ジャパンの藤本氏は「デジタルインダストリアルカンパニーになり、第4次産業革命を勝ち抜く企業になるというのがGEのここ最近の大きなテーマである。GEでは最近CEOが交代したが、デジタル化に突き進むという方向性は変わらないことを明言している」と語る。
デジタルインダストリアルカンパニーとなるための3つの原動力が、「サービストランスフォーメーション」と「サプライチェーントランスフォーメーション」「カルチャートランスフォーメーション」である。この中でサプライチェーントランスフォーメーションへの取り組みの1つとして進めているのが「ブリリアントファクトリー」である。
「ブリリアントファクトリー」は、IoTやデータ分析などを活用することにより、全世界400拠点に及ぶGEの工場の製造に関するコストを20%低減することを目指すものだ。データを活用した工場操業に関する知見や手法の共有や高度化、制御システムとセンサー技術の開発と活用、ITソフトウェアの開発と活用、事業に応じたカスタム化などを行っている。「ブリリアントファクトリーではリーンの進化とデジタル化の進展が特に重要とされており、GEは、現在世界に450ある製造拠点の全てを2025年までにブリリアント・ファクトリー化する計画だ」(藤本氏)という。
GEのブリリアントファクトリー拠点である日野工場
このGEの「ブリリアントファクトリー」の7つのショーケースの1つとして選ばれたのがGEヘルスケア日野工場だ。同工場はCTガントリ、MRI(磁気共鳴断層撮影装置)プローブ(超音波診断装置のセンター部分)などを生産している。
GEヘルスケア日野工場ではもともと、1982年の会社設立から、QCサークルなどの改善活動、シックスシグマ、リーンシックスシグマなどを取り入れるなど「KAIZEN」活動を積極的に進めてきた(※)。例えば、CTガントリの組み立てリードタイムについては1982年が5日だったのに対し、現在は4.2時間となるなど、95%の削減に成功したとしている。
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これらの成果が評価を受け、GEの450工場の中でブリリアントファクトリーの最初の7つのショーケースに選ばれた。「日野工場の設備は古いものの、デジタル化を進めることで改善を行った結果、生産性が上がることが実証された。これが評価されたと思っている」と藤本氏は述べた。また「重要なポイントは最新の設備やロボットをどんどん導入しているわけではなく、今ある設備や資産を生かしながら最適性と生産性向上を目指すことだ」(藤本氏)と強調した。
生産性を向上させるための取り組みの1つが価値作業比率の向上である。同工場ではCTガントリのラインでリードタイムを管理するために、キットカートを使って1時間分の組み立て作業を標準化していた。2016年まではその作業実績をチームリーダーがホワイトボードに手書きし、作業終了後にそれをExcelに再入力するというプロセスとなっており、手間と時間が無駄にかかっていた。
それをキットカートにRFIDを取り付けたことで解消することに成功したという。開始・終了時間は自動的に管理され、進捗状況をリアルタイムで把握することができるようになった。しかもデータ入力時間はゼロとなったとしている。「データを取ることに作業時間を取らないでよくなった分、新たな知見を得るところに作業員の能力を費やすことができるようになった。この結果さまざまな改善につながった」(藤本氏)としている。
その他、人の動きをヒートマップで把握するビーコントラッキングシステムの導入や、既存設備にセンサーを取り付けビッグデータ解析などを行うなど、さまざまな取り組みを現在進行形で進めているという。藤本氏は「ブリリアントファクトリーへの取り組みで改善のスピードを倍速化したい。これらのノウハウは工場の中だけでなく当社の製品を購入する病院のプロセス改善などにも活用できる。今後は自社内に加えて、外部への提供などにも取り組んでいく」と述べた。
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