仮想空間での身体接触を体感できる、布状2次元通信システムを開発:医療機器ニュース
慶應義塾大学は、布状の2次元通信システムと、その技術を応用したハプティクス(触覚)スーツを開発した。この2次元通信ハプティクススーツは、簡単に装着可能で、外部からの接触を疑似的に体験できる。
慶應義塾大学は2019年11月15日、布状の2次元通信システムと、その技術を応用したハプティクス(触覚)スーツを開発したと発表した。帝人、南山大学、Enhance Experienceとの共同開発となる。
帝人では、RFID物品管理システム「レコピック」で使用する、電波を面で制御する2次元通信技術を提供している。同技術は固い樹脂素材にしか適応できなかったが、南山大学と共同で、柔らかい布状のものへ適応できるように開発。全身での通信や給電が可能な衣服として利用できる技術に発展させた。
慶應義塾大学とEnhance Experienceは、2015年に全身触覚スーツ「Synesthesia Suit」を開発している。今回、両方の開発成果を組み合わせ、簡単に装着可能で、外部からの接触を疑似的に体験できる、2次元通信ハプティクススーツを開発した。
この布状2次元通信システムは、導電繊維と絶縁繊維で構成された布を使用し、柔軟な2次元の面で給電や通信を行う。ハプティクスモジュール(振動子)を取り付け、ヘッドマウントディスプレイから発信する映像や音声に合わせて振動させれば、視覚・触覚の両面から、仮想空間での身体接触を体感できる。
また、2次元通信を用いることで、従来の配線方式よりも柔軟性・耐久性が向上する。用途や体型、骨格に合わせたカスタマイズも可能だ。ハプティクスモジュールの他にも、センサーやアクチュエーターを装着できるため、さまざまな用途での活用が見込まれる。
今後は、布状の2次元通信システムを活用し、ゲーム、教育、医療、介護などの分野で用途開発を進め、数年内の実用化を目指すとしている。
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