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ロボットの力加減を調節する集積化触覚センサーの開発に成功医療機器ニュース

東北大学は、MEMS技術による3軸力センサーと専用の「センサープラットフォームLSI」とをワンチップ化した集積化触覚センサーを開発した。これにより、ロボットの力加減を適切に調節するために必要な要素が、全て同時に達成できるようになった。

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 東北大学は2017年3月7日、集積化触覚センサーを開発したと発表した。MEMS(Micro Electro Mechanical Systems:微小電気機械システム)技術による3軸力センサーと、多数のセンサーを制御できる専用LSI「センサープラットフォームLSI」とをワンチップ化したもので、同大学マイクロシステム融合研究開発センター(μSIC)と「先端融合領域イノベーション創出拠点形成プログラム」の協働企業が共同で開発した。

 人間型ロボットの力加減を適切に調節するためには、ロボットの手や腕に多くの触覚センサーを配置する必要がある。従来は高精度な多軸力の検出、高速センシング、省配線、小型化、高密度実装を同時に達成することは困難だったが、今回開発された集積化触覚センサーに以下の技術を盛り込むことで、それが可能になった。

 まず、センシングについては、生物の触覚器官の機能を参考にして、圧力とせん断力の高精度検知、閾値動作(イベントドリブン)、順応などの機能を持たせた。また、東北大学が蓄積してきたMEMS技術をベースとするヘテロ集積化技術により、小型化と高密度実装に成功した。

 複数個のセンサーによる同時/多軸センシングを可能にした技術は、「センサープラットフォームLSI」だ。トヨタ自動車や豊田中央研究所らと共同で開発した同LSIは、マルチチャネル、マルチドロップ型のシリアルバス通信に対応しており、多数個を接続する際も省配線で済む。

 しきい値動作と順応によるイベントドリブン通信方式をサポートしており、「センサープラットフォームLSI」の動作条件を設定によってさまざまに変更できる。通信速度や、センシングの種類/感度、バスの混雑を回避する仕組みなどが自由に設定可能だ。

 また、集積化触覚センサーは、MEMSとLSIとのウエハーレベルを一体化するための「MEMS-LSI 集積化プラットフォーム」の開発なくしては完成しなかった。共同開発の中で、同プラットフォームに基づく集積化MEMSを低コストで開発する方法も獲得した。半導体受託開発企業が提供するウエハー試作サービスには、全買い取りと相乗り(MPW:マルチプロジェクトウエハー)の2種類があり、研究開発段階では、相乗りの方がコスト面で有利だ。しかし、別の顧客のチップが相乗りした部分を秘密保護のために破壊する処理が必要となる。この破壊した部分に修正処理を施すことにより、シリコン基板貫通配線や気密封止構造を作製するための追加プロセスが可能になった。

 今回開発した集積化触覚センサーならびに、2つの技術は、家事支援や介護といったライフサポートロボットへの実装のほか、工場の生産ラインなどの省人化/効率化にも応用できる。ロボット用触覚センサーに限らず幅広い応用が期待されるため、他の企業や研究機関などに対して提供する用意があるという。

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