遠くにいても温熱感覚を伝えられる装着型インタフェースを開発:医療機器ニュース
慶應義塾大学は、遠くにいる人の指や手のひらに、温もりや冷たさなどの温熱感覚を伝えられる装着型のインタフェース「サーモグローブ」を開発した。温度や熱流を同時かつ双方向に制御することで、対象物に直接触れているような感覚が得られる。
慶應義塾大学は2017年9月29日、遠くにいる人の指や手のひらに、温もりや冷たさなどの温熱感覚を伝えられる、装着型のインタフェース「サーモグローブ」を開発したと発表した。同大学理工学部 准教授の桂誠一郎氏の研究室による成果だ。
今回開発したサーモグローブは、内部に複数の熱電変換素子/センサーを埋め込み、素子の外側に放熱材を取り付け、放熱面で配慮した。さらに、再現する温度分布を考慮し、各熱源の指令値を熱拡散方程式に基づいて生成。これらにより、限られた熱源を用いた場合でも、繊細で臨場感のある温熱感覚を提示できる。
サーモグローブは全体が柔軟性のある材質に埋め込まれており、手に密着してなじみやすく、没入感を得られる。装着型のため、さまざまな用途に応用可能だ。音や映像、力覚など他のメディアとの複合提示も可能で、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)、実世界での遠隔地間コミュニケーションなどで、臨場感の向上が期待できる。
また、遠隔地の温熱情報を取得するインタフェース(マスター)と組み合わせることで、VRではなく、遠隔地の実世界上の温熱感覚をサーモグローブ(スレーブ)で忠実に再現することも可能だ。温度だけでなく、熱流(熱の移動量)を同時かつ双方向に制御するため、対象物に直接触れているかのような感覚が得られる。
温熱感覚の提示技術が多くのインタフェースへ導入されることで、「温もり」を生かした産業イノベーションの誘発が期待される。今後、同研究室では、医師が遠隔地から健康モニタリングや治療をする在宅医療技術や、温熱感覚を伴うリハビリテーション支援への適用を目指し、研究を進めていく。
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