これは鳥肌!? 電気で伸縮する次世代ゴムがAIの感情表現や触覚伝達に大活躍:東京モーターショー2019
豊田合成は「第46回東京モーターショー2019」に出展し、電気で伸縮する次世代ゴム「e-Rubber」を用いたコンセプトデモとして、多彩な触覚を疑似的に再現する「Commu-Touchpad」と、触覚による遠隔コミュニケーションを実現する「Commu-Beat」を披露した。
豊田合成は「第46回東京モーターショー2019」(会期:2019年10月24日〜11月4日、東京ビッグサイト他)に出展。将来コンセプトの実現に向けた要素技術を紹介するエリアでは、電気で伸縮する次世代ゴム「e-Rubber」を用いたデモとして、多彩な触覚を疑似的に再現する「Commu-Touchpad」と、触覚による遠隔コミュニケーションを実現する「Commu-Beat」を披露した。
e-Rubberは、東京大学 教授の伊藤耕三氏が発明した「スライドリング マテリアル」と呼ばれる架橋点(加硫ゴムの物性を支配する重要な因子の1つ)が自由に動く超分子材料をベースとし、アドバンスト・ソフトマテリアルズ(ASM)から材料供給を受けて、豊田合成が材料設計、解析技術を用いて開発したものである。
誘電ゴムを伸縮性のある電極で挟み込んだような構造で、電圧をかけると誘電ゴムが伸び縮みすることから、次世代の動力源(アクチュエータ)として人工筋肉などへの応用が期待されている。また、電極部にかかる圧力を電気信号に変換することで触覚/圧力センサーとしても機能し、医療分野への応用が可能だとする。
AIの感情を表現する「Commu-Touchpad」
Commu-Touchpadは、ゴムの動きによる触覚変化や色彩、音を組み合わせてAI(人工知能)の感情を表すことを目的とする。「AIアシスタントなどと会話する中で、どうしても言葉では伝わらないAIの感情をどうすれば表現できるのかを考え、生まれたのがこのコンセプトだ。マルチモーダルな刺激をフィードバックすることで、使用者はAIの感情を五感で受け止めることができる」(豊田合成の説明員)。
展示会場では、Commu-Touchpadの台座の天面をたたくと、天面の素材に鳥肌のような無数の突起が現れ、同時に色と振動、音によりAIの感情を表現するデモを披露した。
ただ、こちらのデモ環境は残念ながらe-Rubber本来の特性を生かしたものではなく、一般的な電動アクチュエータでスポンジを押し出して、突起を浮き上がらせているという
触覚による遠隔コミュニケーションを実現する「Commu-Beat」
一方のCommu-Beatは、触覚による遠隔コミュニケーションを実現するコンセプト。e-Rubberに触れた際に生じる電気容量の変化をセンサーとして活用し、アクチュエータと組み合わせることで、電話のように遠く離れた人と触感を共有できるというものだ。
こちらのデモ環境では実際にe-Rubberが用いられており、送信側のパット部に触れた指の感触が、受信側のパット部に伝わるデモを体験できた。「送信側の入力信号を基に、受信側のe-Rubberに電圧をかけて伸縮させている。これにより繊細かつ柔らかい表現(タッチ)を可能にしている」と豊田合成の説明員は述べる。
さまざまな領域で採用が広がりつつある「e-Rubber」
e-Rubberはロボット分野、自動車分野、医療/介護分野、ハプティックス分野での活用が期待されており、特に心臓手術シミュレーターなど医療分野での採用が先行して進みつつあるという。
また、同社ブースの将来コンセプトゾーンに展示されていたゴムおよび樹脂技術で実現する柔らかなコンセプトカー「Flesby III」に代表される未来のクルマのインテリア部などにもe-Rubberが適用できるとする。
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