ADASやHMIに集中、“再挑戦事業”から脱却目指すパナソニック車載事業:製造マネジメントニュース(3/3 ページ)
パナソニックは2019年11月22日、各事業の状況を紹介する「Panasonic IR Day 2019」を開催。本稿ではその中から、パナソニック オートモーティブ社(AM社)の社長である楠見雄規氏の説明内容を紹介する。
規模拡大を進める角形電池、円筒形は北米の立ち上げに集中
車載電池事業については、角形電池については生産能力の拡大により、収益貢献力を高めていく方針である。トヨタとの合弁会社設立に加え、中国の大連工場についても2019年11月に第2棟がセル生産を開始。また国内の姫路工場についても2019年11月から高容量セルの出荷を開始しており「2019年度は2012年度の5倍の生産能力を実現。着実な能力拡大を収益に結び付けていく」と楠見氏は語っている。
課題となっている円筒形電池事業については、当面はギガファクトリーにおける生産性改善が最重点課題となっている。楠見氏は「生産能力向上や稼働率改善は遅れたものの着実に生産能力を高めることができている。年産容量35GWhが目標だが、現在30GWhまでは高めることができている。2019年度内にはフル稼働の見込みだ。単月黒字化にもめどが立ち、2019年度下期は黒字化を実現したい」と話している。
ギガファクトリーでの円筒形電池の立ち上げが遅れたことにより、電池供給で独占的な立場だったテスラとの関係も変化。新たにテスラが立ち上げる中国工場に対しては「新たに中国生産をする計画はない」(楠見氏)としている。楠見氏は「まずは北米工場の立ち上げをやり切るというのが最も大事でそこに集中している。テスラとのパートナーシップは変わらず、将来のニーズも含めてさまざまな話をしている。しかし、この場ではその内容については話すことはできない」と楠見氏は語っている。
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