住友重機械のエッジコンピューティング活用法とは、HPEは「5Gクラウド」目指す:製造業IoT(2/2 ページ)
日本ヒューレット・パッカード(日本HPE)は、工場をはじめとする厳しい動作環境向けのエッジコンピュータ「HPE Edgeline」の最新ラインアップとなる「HPE Edgeline EL8000 Converged Edge System」を発表。また、HPE Edgelineのユーザー事例として、住友重機械の射出成形機事業の取り組みも紹介した。
住友重機械の射出成形機生産品質管理システム「i-Connect」
会見では、HPE Edgelineの典型的な採用事例として、住友重機械工業の取り組みも紹介された。
住友重機械工業のプラスチック機械事業部は射出成形機を手掛けており、その成形工程向けの生産品質管理システムとして「i-Connect」を展開している。同社 プラスチック機械事業部 技術部 主任技師の羽野勝之氏は「射出成形機は数秒で樹脂成形を完了するが、その短時間でセンサーなどから得られるデータを収集する必要がある。そのために採用したのがHPE Edgelineだ」と語る。
HPE Edgelineを選定した理由は3つある。1つ目は、-30〜70℃という幅広い動作温度範囲を持つ「EL300」を代表に、製造現場のより近くでの設置を考慮している点だ。住友重機械工業の顧客は十数〜百数十台の規模で射出成形機を使用しているが、50台まで接続可能なEL300は、工場内に設置する可能性もある。2つ目は、OEM契約により、日本から海外に輸出したHPE Edgelineの保守サービスを現地で受けられることだ。実際に、i-Connectの販売とメンテンナスの契約は、ソフトウェア関連は住友重機械工業側で対応するものの、ハードウェアについてはHPEが中心になってサポートする体制になっている。
そして、3つ目はi-Connectを開発する際に、HPE IoTコンピテンスセンターを利用できたことだった。「120台の機械を接続した通信評価テストを、センター内のサーバに構築した模擬環境で実施できた。何よりこれが無償だったことが大きい」(羽野氏)という。
i-ConnectのハードウェアについてHPEに一任することで、住友重機械工業はi-Connectのアプリケーション開発に注力できた。なお、i-Connectの開発は住友重機械工業のグループ会社であるライトウェルが担当。企画から完成まで約1年半をかけた。
i-Connectは、「電子あんどん」や「遠隔サポート」などの機能を用意しており、2019年8月からの販売で約20社が導入しているという。今後は年間約50〜100社を目標に展開を拡大していく方針。羽野氏は「現在の機能は、接続、データの収集、蓄積、可視化にとどまっているが、今後は分析や活用も可能とし工場のスマート化に貢献できるようにしていく。工場内で用いられる他の設備との連携を目指して、HPE EdgelineとPLCなどを接続可能にする『OT Link』も活用し、クラウドなどの上位システムとの連携も図りたい」と述べている。
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