HPEの工場向けエッジコンピュータ、「Myriad X」モジュールでAI処理機能を拡張:ET2019
日本ヒューレット・パッカードは、「ET&IoT Technology 2019(ET2019)」のインテルブースにおいて、工場をはじめとする厳しい動作環境向けのエッジコンピュータ「HPE Edgeline」を展示。インテルのAIアクセラレータチップ「Movidius Myriad X VPU」のモジュールを搭載することで、AI処理機能を拡張できるようになった。
日本ヒューレット・パッカード(日本HPE)は、「ET&IoT Technology 2019(ET2019)」(2019年11月20〜22日、パシフィコ横浜)のインテルブースにおいて、工場をはじめとする厳しい動作環境向けのエッジコンピュータ「HPE Edgeline」を展示した。
HPE Edgelineは、日本HPEが得意とするエンタープライズITと、工場やプラントなどで用いられているOT(制御技術)の物理的な融合を可能にするソリューションだ。インテルプロセッサを搭載し、幅広い動作温度範囲や耐衝撃性、耐振動性を備えるコンピュータやサーバとともに、PLCなどのOTに用いられる約200の産業用通信プロトコルに対応可能なモジュールとソフトウェアプラットフォームから成る「HPE Edgeline OT Link」を併せて展開している。
中でも好調なのが、ファンレスによる防塵(じん)性能を有するとともに−30〜70℃の動作温度範囲を実現している「HPE Edgeline EL300」だ。2019年2月に国内発売したが「モノづくりの現場からの引き合いは大変強い」(日本HPEの説明員)という。
また、インテルブースへの出展に合わせて、HPE EdgelineがインテルのAIアクセラレータチップ「Movidius Myriad X VPU(以下、Myriad X)」を4個搭載するモジュールに対応したことも明らかにした。「HPE Edgeline EL300のようなファンレスの製品にGPUボードを組み込むのは現実的ではない。また、AIを高性能に処理できるGPUボードが高価なことも課題だ。Myriad Xモジュールは、AI処理の消費電力が極めて小さいのでHPE Edgeline EL300にも組み込めるし、GPUボードに比べればかなり安価だ。その上で、エッジコンピュータに高度なAI処理能力を組み込める」(同説明員)。
なお、HPE EdgelineのMyriad Xモジュールの搭載可能本数は、EL300が1本、サーバ製品である「EL1000」と「EL4000」はそれぞれ4本と16本となっている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- エッジ戦略を強化するHPE、エンタープライズITとOTの融合で何が起こるのか
日本ヒューレット・パッカード(日本HPE)がエッジコンピューティング戦略について説明。日本HPEが得意とするエンタープライズITと、工場やプラントなどで用いられているOT(制御技術)を物理的に融合した「業界初」のシステムとなる「HPE Edgelineソリューション」の国内展開を始めるという。 - インテルのUSBスティック型組み込みAIデバイス、最新版の動作デモが公開中
岡谷エレクトロニクスは、「Embedded Technology 2018/IoT Technology 2018(ET2018)」のインテルブース内で、発表されたばかりのUSBスティック型組み込みAIデバイスの最新モデル「Intel Neural Compute Stick 2(NCS 2)」の動作デモを披露した。 - HPEのIoT戦略は「シフトレフト」、エッジにサーバ「Moonshot」の処理能力を導入
日本HPEがIoTへの取り組みについて説明。「モノ」に近い現場で、IoTデバイスからの情報の分析や最適化を行う「エッジコンピューティング」を重視した「シフトレフト」という考え方に基づき事業展開を進めて行く方針だ。 - 1.5Gの振動を加えても70℃でも安定動作する耐環境コントローラ、PFUが披露
PFUは、「ET&IoT Technology 2019(ET2019)」において、半屋外、車両、粉じんや有害ガス環境などの過酷な環境でも安定して動作する「耐環境コントローラ」を参考展示した。 - AIエッジソリューションを発売へ、アドバンテックがNVIDIAと協業
アドバンテックは、NVIDIAとの協業を発表した。協業に伴う新製品第1弾として、「Jetson TX2」を製品化したAIエッジソリューション「MIC-720AI」を発売した。 - 24V電源を備え−40℃で動作する産業用ラズパイ、ハーティングがアピール
ハーティングは、「産業オープンネット展2019 東京」において、産業機器に求められる動作温度範囲、振動やノイズに対する耐久性を持つ「Raspberry Pi」である「RevPiシリーズ」を展示した。