パナソニックの中期戦略目標は「低収益体質からの脱却」、聖域なく見直しを断行:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
パナソニック 社長の津賀一宏氏が、2019〜2021年度の中期戦略の考え方と、この半年間での取り組みの進捗について説明。津賀氏は「今中期戦略は低収益体質からの脱却が目標。これを実現した上で、より長期の目標として、2030年に向けて『くらし』で役に立つ、くらしアップデートの会社を目指す」と強調した。
構造的赤字事業への対策は「具体的な施策を着実に実行するだけ」
低収益体質からの脱却が目標である以上、固定費削減は必須だ。2019年5月の中期戦略の発表では2021年度に1000億円を削減するという目標を示していたが、今回はその内訳について説明した。
まず人件費削減で300億円。これは、2021年度に向けて多くの社員が定年を迎えるための自然減によるもので、リストラ費用などはほぼかからない。次に、間接業務削減、拠点集約などでの効率化が300億円となっているが、これも拠点閉鎖などを伴う施策ではないため費用はわずかだという。最後に、構造的赤字事業への対策が400億円になる。津賀氏は「既に具体的な施策を固めており、後は着実に実行するだけ」と説明する。効果としては500億円を見込むものの、費用として約100億円を想定しており、その結果としての数字が400億円だ。
また固定費削減以外にも打ち手が必要だ。「営業利益率が5%に届かない」(津賀氏)低収益事業は、2021年度までに方向性を決定する。また、競争力維持が困難な事業についても、他社との協業などを含めた大胆な資本政策を含めて方向性を検討する。2019年11月21日に発表した液晶パネル工場の生産終了も、競争力維持が困難と判断した結果の施策になる。また、大胆な資本政策と連動する形で、パナソニックブランドの活用に関する制限を緩和し自由度を高めた。津賀氏は「従来は50%以上の出資が必要などの条件があったが、それを取り払った」と述べる。
津賀氏「全ての領域でIoTが重要なキーワードになる」
今回の中期戦略では、ある意味で聖域だった家電や住設などの既存事業を含めて、抜本的な見直しが図られている。津賀氏は「全ての領域でIoTが重要なキーワードになる」と述べ、これまでユーザーが一方的に利用するだけでそこからのフィードバックがなかった“モノ”が、IoTによって見える化されてフィードバックが得られ、より最適に制御する流れを生み出せるとした。
また、テスラ(Tesla)とのリチウムイオン電池製造の協業については、「米国の工場であるギガファクトリーの生産目標である年産容量35GWhの早期実現に最も注力している。そして、その中身を改善してさらなる高容量化を進めていく。なお、中国におけるテスラ向け電池の生産拠点は作らないし、その計画もない」(同氏)としている。
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