「2020東京がなければ新規事業もなかった」、2000億円超の収益を得るパナソニック:製造マネジメントニュース
パナソニックは、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに関連するビジネスについて、累計販売額が2000億円を超える見通しであることを発表した。
パナソニックは、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに関連するビジネスについて、累計販売額が2000億円を超える見通しであることを発表した。2020年を契機に創出する新規事業も順調に成長しており、2022年までに累計700億円超のビジネスになると見込んでいる。
同社が2019年7月11日に開催した記者会見では、同社執行役員 東京オリンピック・パラリンピック推進本部長の井戸正弘氏がオリンピック関連ビジネスの概況を説明した。
パナソニックは1988年のカルガリー冬季大会から30年以上にわたり、最高位のスポンサーとなるTOP(The Olympic Partner)パートナーとしての活動を継続している。同社では2020年の東京大会に向けて、2014年に東京オリンピック・パラリンピック推進本部を設立。「2020年の社会課題を考え、そこからバックキャストでソリューションを提案し、新しいビジネスモデルを立ち上げた」(井戸氏)とする。同社は、交通利便性、アクセシビリティ、環境配慮、コミュニケーションといった社会課題や、障がい者対応、超高齢化社会、健康増進といった日本が目指す姿を描いたという。
これに対し、同社は「5スマート+ネクスト3」のソリューション群を提案している。5スマートは「スマートトランスポーテーション」「スマートコミュニティ」「スマートコミュニケーション」「スマートペイメント」「スマートセキュリティ」から構成され、ネクスト3では「アクセシビリティ」「ウェルネス」「スポーツ」の領域で新規事業を開発している。
その一例が、2019年4月から発売した屋外用ミスト式冷却機の「グリーンエアコン」となる。屋外空間における暑さ対策として開発され、2020年東京大会の会場周辺に設置される見込みだ。独自に開発した2流体噴射弁で、水を直径10μm以下の「シルキーファインミスト」として噴霧し、気化熱による冷却効果を周囲空間に提供する。同装置の冷却効果は気温で4℃程度となり、「体感では7℃の涼しさ」(井戸氏)を感じられるとする。現在は常設タイプを展開するが、省施工性が特徴の「グリーンエアコンFlex」の提案活動を進めるとする。
また、アクセシビリティの面では、ベンチャー企業のWHILLと共同開発を進める自動追従電動車いすを紹介。この電動車いすは現在、全日本空輸と共同で実証実験を行っており、2020年度の導入を目指している*)。また、パワーアシストスーツや自動搬送ロボット「HOSPI」も大会運営の省力化に貢献すると強調した。
*)関連記事:自動追従の電動車いすが成田空港で検証、高齢者の乗り継ぎ不安を解消へ
パナソニックは、2015〜2020年度までのオリンピック関連ビジネス累計販売目標を当初1500億円と置いていたが、このほど上方修正し2000億円を超える見通しを明らかにした。競技場や選手村建設など、オリンピック開催に直接関連する需要(直接需要)で340億円超の累計販売を見込む。また、オリンピック開催に関連して進む都市開発やホテル、交通の新設改修の需要(関連需要)は、当初の想定から大きく伸び累計1360億円超の販売額となる想定だ。また、5スマート+ネクスト3の新規ビジネス領域では2020年までに累計販売額240億円、2022年までに同700億円の目論見を立てている。
井戸氏は「2020年の東京大会の開催がなかったら、関連する新規事業もなかっただろう。また、全く新しいビジネスがわれわれの中で立ち上がっているのは良いことだが、パナソニック1社だけでは決して提供できなかった。事業開発を通じて、40社を超えるパートナーと協業関係を結んでおり、この関係は東京大会後も続くだろう」と事業の成果を説明している。
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