ジェイテクトが高耐熱リチウムイオンキャパシターを量産へ、新規事業展開も着々:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
ジェイテクトは2019年11月19日、東京都内で会見を開き、2019年度上期業績や通期の見込み、自動車業界で注目を集めるCASEへの対応、新規事業の進捗状況について説明した。
高耐熱リチウムイオンキャパシターは早ければ2025年に売上高50億円へ
新規事業としては、2019年10月に新工場(花園工場、愛知県岡崎市)を建設し量産を始めた高耐熱リチウムイオンキャパシターに加えて、介護用歩行器「J-Walker テクテック」、製造業マッチングサービス「ファクトリーエージェント」、水管理ソリューション「J-WeLL」を紹介した。
2017年11月に発表した高耐熱リチウムイオンキャパシターは、−40〜85℃以上という高耐熱性が最大の特徴だ。安形氏は「この2年間で500件以上の引き合いをいただいており、事業化に問題ないと判断し工場も作った」と強調する。花園工場の生産ラインは、年間48万セルまで拡張可能だ。2022〜2023年に単独黒字化し、2025〜2026年には売上高50億円の規模まで引き上げたい考え。
J-Walker テクテックは、既に発表しているパワーアシストスーツ「J-PAS」と同様に人と機械の調和をコンセプトに開発された。高齢者向けの歩行器に、スキーのノルディック競技のようなポールウオーキングの要素を取り入れるとともに、専用スマートフォンアプリを使った見える化とゲーミフィケーションを組み合わせた製品になっている。2020年度内の発売を予定している。「J-PASやJ-Walker テクテック、開発中のもう1製品についてはヒューマンライフサポート事業として立ち上げたいと考えている。将来的には50億〜100億円の売上高を目指せるのではないか」(安形氏)。
2019年3月に発表したファクトリーエージェントは、国内製造業を支えてきた中小企業とスタートアップや大学のマッチングを行うサービスだ。安形氏は「現在はテスト的に一部ユーザーで運用中だが反響は大きい。今後の対応としては、インターネットに慣れていない町工場の社長にどのように使ってもらえるかという仕掛けが必要かもしれない」と述べる。
J-WeLLは、「あまり知られていないが当社は投げ込み式水位計の大手」(安形氏)という背景から生まれたソリューションだ。地下水をくみ上げる井戸を枯らさないように一定以上の水位を確保して、長寿命化させることができる。現行の水位計と、工場向けに展開しているIoE(Internet of Everything)技術などを組み合わせて実現した。2019年7月から、同社のインド工場内で実験中であり、今後インドの政府や自治体と協力しながら事業化を進める方針だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 左右のタイヤを別の角度で曲げる、ジェイテクトの左右独立ステアバイワイヤ
ジェイテクトは「第46回東京モーターショー2019」(会期:2019年10月24日〜11月4日、東京ビッグサイト他)において、左右独立型ステアバイワイヤシステムを発表した。 - 電動キャリパーブレーキ向けに循環しないボールねじ、ばねで回転を継続
ジェイテクトは2019年10月8日、「第46回東京モーターショー2019」(一般公開日:2019年10月24日〜11月4日、東京ビッグサイト他)において、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)など向け電動キャリパーブレーキ用の非循環ボールねじを開発したと発表した。 - 運転の権限は「切り替えない」、EPSソフトウェアで手動運転と自動運転が共存
ジェイテクトは、ドライバーによるステアリング操作と自動運転システムの操舵(そうだ)制御を共存させる技術「ハプティックシェアードコントロール」の開発を進めている。手動運転中に自動運転の操舵制御をオフにしたり、自動運転中にドライバーが操舵に介入できない状態になったりすることなく、ステアリングのアシストと自動操舵の両方を継続することができる。 - 自立歩行支援を目的とした介護機器の開発に着手
ジェイテクトは、自立歩行支援を目的とした介護機器「J-Walker テクテック」の開発に着手した。自立歩行が困難な要介護者の歩行を支援し、自立度を高める歩行器で、2020年度の販売開始を目指す。 - ジェイテクト、新規事業として製造業マッチングサービスを開始
ジェイテクトは、ウェブサイトを用いた製造業マッチングクラウドサービスを立ち上げた。利用者がサイト上で図面や加工要件を登録すると、受注候補となる企業がリスト化され、オンライン上で発注できる。 - 電動パワーステアリングの技術を応用したアシストスーツ、「人の動きに調和」
ジェイテクトは、「2017 国際ロボット展(iREX2017)」において、工場や建設現場など向けのパワーアシストスーツ「J-PAS(JTEKT Power Assist Suit)」を披露した。2018年度内の国内発売を予定している。