運転の権限は「切り替えない」、EPSソフトウェアで手動運転と自動運転が共存:自動運転技術(1/2 ページ)
ジェイテクトは、ドライバーによるステアリング操作と自動運転システムの操舵(そうだ)制御を共存させる技術「ハプティックシェアードコントロール」の開発を進めている。手動運転中に自動運転の操舵制御をオフにしたり、自動運転中にドライバーが操舵に介入できない状態になったりすることなく、ステアリングのアシストと自動操舵の両方を継続することができる。
運転の権限をドライバーと自動運転システムでどう切り替えるか――。
ジェイテクトは、ドライバーによるステアリング操作と自動運転システムの操舵(そうだ)制御を共存させる技術「ハプティックシェアードコントロール」の開発を進めている。手動運転中に自動運転の操舵制御をオフにしたり、自動運転中にドライバーが操舵に介入できない状態になったりすることなく、ステアリングのアシストと自動操舵の両方を継続できる。市販車両に搭載して技術を検証しており、今後はECU(電子制御ユニット)に実装した際の課題を洗い出す。
ハプティックシェアードコントロールは、レベル3以降の自動運転システムに向けて2025年ごろの製品化を目標に開発を進めている。レベル2までの運転支援システムはドライバーが責任を持って周辺を常時監視しながら運転する必要があるが、レベル3以降は条件付きで周辺監視から目を離すことが認められる。システムの要請に応じてすぐに運転に復帰できるのであれば、スマートフォンの画面を見ていてもいいことになる。
自動操舵と手動運転を切り替える場合、ステアリングの負荷が急に変動したり、切り替えの瞬間に車両の挙動が乱れるといった課題があった。これに対し、ジェイテクトではこれまで電動パワーステアリング(EPS)のモーター制御をスムーズに切り替えることに主眼を置いて開発を進めていた。ただし、自動操舵は角度制御、手動運転は操舵をアシストするトルク制御で行われており、両方の制御を同時に行うことはできなかった。そのため角度制御が優先され、場合によっては“自分で運転したいのに自動運転中でステアリングが動かせない”という状態になる可能性がある。
ハプティックシェアードコントロールでは、トルク制御と角度制御のどちらかをオフにしたり制御を弱めたりすることなく、両方の制御を共存させる。具体的には、ドライバーによるステアリング操作はEPSのトルクセンサーで検知しており、そのトルクを角度に変換している。ドライバーのステアリング操作を角度に変換し、自動操舵の目標とする角度から差し引くことで、ドライバーの介入をステアリング制御に反映できるようになる。
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