マクニカとアルベルトがスマート工場向けで資本業務提携、100億円規模目指す:スマートファクトリー(2/2 ページ)
マクニカとALBERT(以下、アルベルト)は2019年11月6日、製造業向けにAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)を活用したスマートファクトリー化提案を進めるため、資本業務提携の契約を締結したことを発表した。
スマート工場のAI活用について、3つのポイントで協業
両社の具体的な協業内容は以下の3つとなる。
- シーメンスのIoT基盤「MindSphere」をベースとした、マクニカの製造業向けプラットフォーム上のアプリケーション共同開発
- 製造業顧客の個別AIプロジェクトにおけるコンサルティング、データ分析、アルゴリズム開発、システム実装などのサービス提供
- AIに関する市場啓蒙活動
マクニカは2019年9月にシーメンスと提携し「MindSphere」の日本での代理店となったが、「MindSphere」を選んだ理由について、マクニカ イノベーション戦略事業本部長 佐藤篤志氏は「さまざまなIoT基盤を検証したが、AIやIoTの導入は1度で終わらず継続性が重要である。ドイツのインダストリー4.0の中核企業であるシーメンスは、その事業の核にMindSphereを位置付けている。そのため継続的にプラットフォームとして発展が見込めると考えた。自社でプラットフォームを開発するよりもコストや負担などなしに安定したソリューションを提供できる。またデジタルツインなどその他の領域でも協業が見込める」などの理由を挙げている。
マクニカではスマートファクトリーへの提案としてアナログデータなどを集約してデジタル化しクラウドなどに送ることができるエッジコンピューティング端末「SENSPIDER」を展開しているが、今後は同端末に組み込むAIなどもアルベルトと共同開発する。さらにマクニカでは「macnica.ai」としてAI事業の拡大を2019年1月に打ち出し「5年で300億円」の目標を掲げている(※)が、今回のスマートファクトリー事業はこの300億円に含まないという。原氏は「スマートファクトリー事業単体で3〜5年後に100億円規模を目指したい」と語っている。
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