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いまさら聞けない「マスカスタマイゼーション」5分で読める簡単解説(1/2 ページ)

IoT(モノのインターネット)活用などで実現するスマートファクトリーの理想像とされる「マスカスタマイゼーション」。このマスカスタマイゼーションとは何かを5分で分かるように簡単に分かりやすく解説します。

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 IoT(モノのインターネット)活用などで実現するスマートファクトリーの理想像とされる「マスカスタマイゼーション」。このマスカスタマイゼーションとは何かを5分で分かるように簡単に分かりやすく解説します。

マスカスタマイゼーションとは

 マスカスタマイゼーションとは、一品一様のカスタム製品を大量生産(マスプロダクション)の生産性で実現する概念や仕組みのことです。ドイツが進めるモノづくり革新プロジェクト「インダストリー4.0」などで実現したい1つの姿として、取り上げられたことなどから注目を集めました。

 「少量多品種製品を効率よく作ろう」という取り組みは今も多くの工場で行われています。しかし、これらの多くは人手で行われているものです。工場現場などでは、受注などに合わせた生産計画を作成し、生産計画に合わせて、頻繁な段取り替えを行いながら、なんとか生産性を上げる取り組みが多いのが現状です。

 また、「複数製品の混流生産」などはある意味ではマスカスタマイゼーションへの流れをくむ動きですが、製品の種類やカスタマイズの自由度、ロットサイズ数などをもっと幅広く柔軟に対応することを目指しています。

 マスカスタマイゼーションで示されているのは、機械が自律的な判断を行い、これらの作業を自動で実現する世界です。例えば、消費者が色やオプション品などをカスタマイズした製品を発注すると、その受注に応じて、部品調達や生産計画などが策定され、工場では変化する生産ラインなどが、これらの個別に仕様が異なる製品群を自律的に判断して、最適な作業を行っていく。こういう形が実現できて初めて、大量生産の効率でカスタム製品が実現できるのです。

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インダストリー4.0などで紹介された未来のスマート工場の姿 出典:Final report of the Industrie 4.0 Working Group

マスカスタマイゼーションに必要なもの

 マスカスタマイゼーションを実現するには、まずは受発注から製品開発、設備開発などの各工程で分断されているシステムがシームレスに連携できるということが前提となります。「受注に合わせて柔軟に生産ラインを変更して、効率的生産を行えるようにする」ということは、少なくとも受注から製造までのシステムがつながっていることが求められるからです。

 例えば、受発注でいえば、CRM(Customer Relationship Management)やERP(Enterprise Resources Planning)などとMES(Manufacturing Execution System)が連携する必要がありますし、製品開発などのエンジニアリング工程では、CAD(Computer-aided Design)とPLM(Product Lifecycle Management)とMESなどの製造現場のシステムが連携できるようになっていなければなりません。サプライチェーンで考えても、調達・発注などのシステムとSCM、MESなどが連携する必要があります。

 さらに、製造業である以上、あらゆる工程は「モノの生産」につながっており、製造現場はあらゆるチェーンの交点となっています。これらのチェーンをつないだ先にある製造現場そのものもシステムと連携して柔軟に変化することが求められます。そこで、工場のスマートファクトリー化、デジタルツイン化が必要になるわけです。工場で起こっていることをデジタルデータ化してデジタル世界で再現し、そのデジタル世界のモデルと各種システムがシームレスに連携することで、製品にかかわるあらゆる工程がデジタル化できます。

 マスカスタマイゼーションを高度に実現しようとすれば、まずデジタルの世界を統合することが必要で、さらに工場など物理世界とデジタル世界を密接に連携させ、デジタル世界の結果を最適に物理世界に反映する仕組みが必要になると考えます。IoTやAIなどこれらに必要な技術が進化し、こなれてきたというのもマスカスタマイゼーション実現への取り組みを加速させている1つの要因となります。

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工場現場で交わる4つの工程(フラウンホーファーIPAにより追記されたARCの図を元に作成)(クリックで拡大)出典:ドイツが描く第4次産業革命「インダストリー4.0」とは?【後編】より

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