「オフグリッド型コネクテッド住宅」は2030年の新たなスマートホームになるか:CEATEC 2019(3/3 ページ)
Armの子会社であるトレジャーデータと、エムテド、日南の3社は2019年10月15日、「CEATEC 2019」内で会見を開き、「2030年の豊かな暮らし」を実現するオフグリッド型コネクテッド住宅「OUTPOST」を開発、提供するプロジェクトについて説明した。
WOTA、ベルデザイン、ピーエス工業、オリジンワイヤレスの技術を採用
CEATEC 2019の展示会場で披露したOUTPOSTのコンセプトを体感できる実物大の住宅には、スタートアップを中心とするパートナー企業の高度な技術が組み込まれている。
OUTPOSTで展示した住宅には、水栓やシャワー、トイレなど水廻りの設備が付いている。これらで使用する水は、フィルターにより水を再生、浄化するWOTAのシステムを用いている。シャワーで使用済みの水であれば99%の浄化が可能だ。フィルターを適宜交換すれば、水のオフグリッドが可能になる。ただし、トイレで使用した水についてはフィルターでの浄化は難しいため「トイレを専門に扱っている企業の協力を得たい」(堀内氏)という。
OUTPOSTでの電力供給には、ベルデザインが提供するワイヤレス給電技術が用いられている。可動型のテーブル上には、出力50Wのワイヤレス給電ポイントが設置されており、これを使ってデスクライトを点灯させたり、お湯を沸かしたりなどできる。「この展示で電源コンセントは一切ない。電力供給については太陽光や風力など、設置場所に合わせて発電技術を利用していくコトになるだろう」(田子氏)。
空調システムは、ピーエス工業が提供するブラインドカーテンのようなラジエータを持つ冷暖房システムを用いている。ラジエータの中に水を循環させることで、空間全体を放射と自然対流によって、自然な温度変化と、安定した涼しさ/暖かさを実現できる。
生体情報の計測では、オリジンワイヤレス(Origin Wireless)の技術を用いている。人がいることによって起こるWi-Fiの電波の変化を基に、在室や不在などの管理、居室内での動作や呼吸などのヘルスデータの検知が可能になるという。
これらの水、電力、空調、生体情報のデータは、Pelion IoT Platformで管理されており、AI(人工知能)技術なども活用して最適な制御を行えるようにしている。
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