ニュース
砂糖の取り過ぎで中性脂肪をためやすくなるメカニズムを解明:医療技術ニュース
名古屋大学は、砂糖の取り過ぎが脂肪肝や高中性脂肪血症などの脂質代謝異常を引き起こすメカニズムを解明した。肝臓の脂質代謝の概日リズムが乱れることで、中性脂肪をためやすくなることが分かった。
名古屋大学は2019年9月12日、砂糖(ショ糖)の取り過ぎが脂質代謝異常を引き起こすメカニズムを解明したと発表した。肝臓の脂質代謝の概日リズムが乱れることで、中性脂肪をためやすくなることが分かった。同大学大学院生命農学研究科 准教授の小田裕昭氏らの研究グループによる成果となる。
研究ではまず、ラットを用いて脂質代謝を調査した。肝臓の脂質代謝は日周リズムを示すが、このリズムの振幅が砂糖の取り過ぎによって増大し、脂質合成が促進することが原因だと解明した。また、この作用は、砂糖を構成する果糖によるものであるという。
砂糖を構成する果糖とぶとう糖は、構造上にわずかな違いがある。しかし、代謝に及ぼす影響は大きく異なるため、このわずかな違いに体内時計が関係することも明らかになった。
砂糖の取り過ぎによる脂肪肝や高中性脂肪血症は、「やせ型」のメタボリックシンドロームを誘発するとされるが、そのメカニズムは不明だった。今回の研究では、概日リズムに依存的な脂質合成の高進が脂肪肝や高中性脂肪血症の原因であることが判明。メタボリックシンドロームを誘発するメカニズムの一端が明らかになり、予防への対策につながることが期待される。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 肥満を抑制する原因遺伝子として「Ly75」を同定
名古屋大学は、肥満を抑制する遺伝子「Ly75(Lymphocyte antigen 75)」を同定した。また、Ly75の遺伝子型とmRNA発現量、白色脂肪組織重量との間には因果関係があることを明らかにした。 - 食塩の過剰摂取で高血圧が発症する脳の仕組みを解明
自然科学研究機構は、食塩の過剰摂取によって体液中のナトリウム(Na+)濃度が上昇すると、脳内のNa+濃度センサーであるNaxがこれを感知し、その結果、交感神経が活性化して血圧上昇が起こることを解明した。 - 肥満を調節する新しい酵素を発見、肥満予防に期待
東京大学は、脂質の一種とこれを生合成するL型酵素の働きをマウスを使って調べ、このL型酵素が肥満を調節する新たな酵素であることを明らかにした。 - カーボンナノチューブを用いて褐色脂肪組織内の異常を細胞レベルで検出
産業技術総合研究所は、単層カーボンナノチューブを近赤外蛍光プローブとして用いることで、絶食させたマウスでは褐色脂肪組織の血管壁透過性が亢進するという現象を発見したと発表した。 - 相撲取りの内臓を高品質に撮影できる超音波画像診断装置、肝硬変検査にも役立つ
シーメンスヘルスケアは、超音波画像診断装置の新製品「ACUSON Sequoia(アキュソン セコイア)」を発表。これまで“ハイエンド”としてきた「ACUSON S3000」と比べてさらなる高機能化を図っており“プレミアムハイエンド”に位置付ける。