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レスキューロボット集結! 要救助者を速やかに助け出せ!inrevium杯 第19回レスキューロボットコンテスト(4/4 ページ)

2019年8月10日、11日に神戸サンボーホールにて「レスキューロボットコンテスト(以下、レスコン)」が開催された。今回で第19回目を迎える本コンテストには全国から24チームの応募があり、岡山と東京で開催された予選を経て14チームが本選に出場した。

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トラブルも想定し、臨機応変な対応でミッションに挑む

 今回、レスキュー工学大賞を受賞した「大工大エンジュニア(大阪工業大学 モノラボロボットプロジェクト)」は、ダミヤンの容体判定の正答率がズバ抜けて高かった。容体判定は実際のレスキュー現場で行われる「トリアージ」をイメージした課題だ。トリアージは、要救助者の重症度に基づいて救助の優先度を決定したり、搬送先施設の決定などに用いられる。

 各ダミヤンには識別情報として、音と光、そして胸のQRコードが設定されている。頭部の発光は意識、周波数は呼吸、鳴動パターンは脈拍を模している。QRコードには負傷の部位、歩行が可能かどうかなどの情報が入っている。搬送前にコントロールルームに容体判定を伝えるのは、搬送後の治療体制を整えるためだ。

 レスコンは20年前からカメラで周囲の状況を把握してきたため、ファイナルミッションにおけるLED発色の認識は正答率が95%と高い。しかし、騒がしいコンテスト会場でダミヤンが発する周波数や鳴動パターンを正確に捉えるのは容易ではない。周波数は32%、鳴動パターンは26%の正答率だった。

 大工大エンジュニアは、ファイナルミッションで3体のダミヤンの周波数、鳴動パターンを全て正答している。音声を正しく認識するために、3号機は集音マイクを機体の前後に搭載。前方のマイクでダミヤンが発する音を拾い、もう1つで周囲の環境音を検知。両データの差分を取りダミヤンの周波数と鳴動パターンを特定したそうだ。

 同チームのレスキューコンセプトは「いつでも どこでも 誰でも ベストパフォーマンス」だ。オペレータの負担を減らし確実な救助活動を行うために、ガレキ撤去アームと救助機構の半自動位置決めシステム、搬送用ロボットの自律化を継続開発している。

 半自動位置決めシステムで、ガレキを撤去する際にハンドの先端にある測距センサーがアームをガレキの位置に合わせている。手動操縦よりも高速で、正確にガレキが撤去できるようになったという。


救援物資を置く機構を追加し、確実に届けていた(クリックで拡大)

 迅速な救助のために、搬送用の自律ロボット4号機が3号機に内蔵されている。3号機が救助したダミヤンを4号機が受け取り、ロボットベースに向かって自律搬送する。その間に、3号機は別のダミヤン救助に向かうのだ。


3号機の中から4号機が出てきて、自律走行でロボットベースに向かう(クリックで拡大)

 ロボットベースの入口で5号機が赤外線を出し4号機を誘導する仕組みだが、ファイナルミッションでは4号機が路肩にぶつかり立ち往生してしまった。こうしたトラブル発生時に備え、1〜3号機にも誘導用の赤外線センサーが搭載されている。

 1号機が4号機を誘導しているところに、もう1体のダミヤンを救助した3号機がやってきた。即座に1号機と3号機が入れ替わり、3号機は4号機を誘導しながらロボットベースに向かい、2体のダミヤンを無事に搬送完了した。


4号機がライントレースで走行できなくなった場合、5号機が赤外線で誘導をする(クリックで拡大)

2体目のダミヤンを救助した3号機が、4号機を誘導しながらロボットベースへ帰還した(クリックで拡大)

 服部さんは「レスキュー現場では想定外のトラブルが次々と発生します。我々は常に臨機応変の対応が求められます」と語っていたが、それはレスコンでも同じだ。目標とするレスキューコンセプトを実践するためあらゆるトラブルを想定し、備えておく姿勢が必要となる。

 大工大エンジュニアは、チームのコンセプトを実現するためのロボットを製作し、臨機応変なオペレーションで課題を高いレベルでクリアした。レスキュー工学大賞受賞にふさわしいレスキュー活動だった。


レスキュー工学大賞を受賞した大工大エンジュニア(クリックで拡大)

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