電通が水上交通のMaaSに注力、東京海洋大と水陸連携の実証実験:モビリティサービス
電通と東京海洋大学は2019年8月15日、陸上移動手段と水上交通手段を組み合わせた「自動運転型水陸連携マルチモーダルMaaS」の実証実験を行うと発表した。陸海空の移動手段が連携したマルチモーダルによるMaaS(Mobility-as-a-Service、自動車などの移動手段をサービスとして利用すること)を想定して検証する。
電通と東京海洋大学は2019年8月15日、陸上移動手段と水上交通手段を組み合わせた「自動運転型水陸連携マルチモーダルMaaS」の実証実験を行うと発表した。陸海空の移動手段が連携したマルチモーダルによるMaaS(Mobility-as-a-Service、自動車などの移動手段をサービスとして利用すること)を想定して検証する。
実証実験は2019年9月4〜5日、東京都港区海岸周辺で行う予定だ。出発地から陸上交通と水上交通を組み合わせて、目的地まで移動するイメージだという。水上交通には、東京海洋大学の自動運航船「らいちょうI」、陸上交通にはMONET Technologiesの配車プラットフォームを用いる。電通は船着場利用管理システム「Triangle Connect」や、移動体の乗客向け情報配信システムを提供する。実証実験に参加するのは関係者に限る。
実証実験は、陸海空の自動運転技術の連携が進む将来を見据え、移動時間を快適に有効活用し、移動中の体験価値を高めるための方法や課題を検討する。水陸連携マルチモーダルの可能性を探り、今後の国内外でのサービス開発につなげる。電通は、MaaS関連のソリューションを効果的に連携させるパッケージ開発を行う。2019年内に西日本など別の地域でも実証実験を行い、水上交通を連携させたMaaSの促進や、移動時の情報流通を通して移動体験を創出するソリューション開発に取り組んでいく。
電通が提供する船着場利用管理システムは、複数の船着場の桟橋利用予約や空き状況を管理し、船着場特有の各種規定に即した運用や精算業務を支援する。すでに東京都内で乗船券の販売や水辺関連情報サイトと連動しながら運用中だという。今後は、水上交通のMaaS化に向けて情報連携を図るソリューションとして展開する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- CASEはMaaSではない、MaaS実現のための5つの要件
MaaSの発祥地であるフィンランドを訪れ、政府や関連企業にインタビューを敢行した。さらに、デンマークのコペンハーゲンで開催された第25回ITS世界会議にも参加して、MaaSとは何かを突き止めようとした。このコラムは、現時点では漠然としたMaaSという概念に対して、筆者なりに足で稼ぎ、要件としてまとめたものである。 - バズワード化するMaaS、そして自動運転ビジネス化への道のりは近くて遠い
これまでスタンドアロンな存在だった自動車は、自動運転技術の導入や通信技術でつながることによって新たな「次世代モビリティ」となりつつある。本連載では、主要な海外イベントを通して、次世代モビリティの行方を探っていく。連載第5回では、「第3回ReVisionモビリティサミット」での議論から、自動運転領域における日本の現在地を見据える。 - 「MaaSは新車販売に劇的なマイナス影響なし」、トヨタ友山氏が語る戦略
トヨタ自動車は2019年2月6日、東京都内で会見を開き、2019年3月期第3四半期(2018年度4〜12月期)の連結決算を発表した。 - 日本発で取り組む医療×MaaS、病院にも稼働率改善が必要だ
自動車業界以外の企業はMaaSでどんな課題を解決し、何を実現しようとしているのか。MONETコンソーシアムのメンバーでもあるフィリップス・ジャパンの戦略企画・事業開発兼HTSコンサルティング シニアマネジャー 佐々木栄二氏に話を聞いた。 - 船舶の自動化に向け、「3D-LiDAR」技術搭載の自動運航船を開発へ
パイオニアと東京海洋大学は、船舶の自動化に向けて、MEMSミラー方式の小型センサー「3D-LiDAR」を活用した共同研究契約を締結した。人為的要因による海難事故を抑止し、海運事業の労働環境の改善、生産性向上を目指す。 - 船舶の安全航行に貢献する、高感度赤外線カメラの小型化に成功
富士通研究所は、船舶向けの高感度赤外線カメラを小型化する技術を開発した。小型化によって船の全周囲にカメラを配置可能になり、撮影画像とAI技術を組み合わせることで約11km先の船舶を自動で識別できる。 - 4社共同開発の船舶IoTの次世代プラットフォーム、実証実験に成功
日本郵船、MTI、日本電信電話(NTT)、NTTデータの4社は、NYKグループの内航船「ひだか」を使用した船舶IoTの次世代プラットフォームに関する実証実験に成功した。