着るだけで医療機器レベルの心電図を測定できるスマートウェアを開発:医療機器ニュース
産業技術総合研究所は、名古屋大学と共同で、医療機器レベルの心電図を測定できるスマートウェアを開発した。起毛ドライ電極と定量的な評価装置の開発により、体の動きによる波形の乱れが小さなウェアを実現した。
産業技術総合研究所は2019年6月10日、名古屋大学と共同で、医療機器レベルの心電図を測定できるスマートウェアを開発したと発表した。呼吸や会話に伴う体の動きによって生じるモーションアーティファクト(MA)と呼ばれる波形の乱れが、小さな心電図を取得できるウェアを実現した。
今回新たに開発した静電植毛技術を用いて、銀メッキを施した短繊維(長さ500μm、直径17〜18μm)の起毛ドライ電極を作製。皮膚ファントムと人体の動きを再現できるアクチュエーターを用いて、電極と体の接触状態を模擬する定量的なMA評価装置も独自に開発した。
呼吸や深呼吸による模擬の結果、皮膚と起毛ドライ電極間の接触圧力が1000Pa以上であれば安定的な心電図計測が可能であるという指標を得た。この指標に基づき電極の構造や配置を最適化して起毛ドライ電極ウェアの試作品を作製し実証実験したところ、MAの小さな胸部誘導の心電図が計測できた。
これまでに製品化されている着るだけで心電図が計測できるウェアでは、MAが大きく医療的に意義のある波形形状の心電図の取得は困難だった。今後は、今回開発したウェアの皮膚安全性試験や電気安全性試験、臨床試験を実施し、医療機器としての認可を目指すとしている。また、筋電図、脳波、体内インピーダンスなどに応用し、バイタルサインの計測ができるスマートウェアへの展開も視野に入れているという。
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