健康管理アプリの検証効率化へ、心電図など測れる開発用ウェアラブル端末:ウェアラブルニュース
Maxim Integrated Products(マキシム)は2018年9月26日、ヘルスケア向け腕時計型ウェアラブル端末の開発プラットフォーム「Health Sensor Platform 2.0(HSP2.0)」を発表した。心電図や心拍数、体温を計測するマキシムのセンサーを、ウェアラブル端末の腕時計部分に収めた。
Maxim Integrated Products(マキシム)は2018年9月26日、ヘルスケア向け腕時計型ウェアラブル端末の開発プラットフォーム「Health Sensor Platform 2.0(HSP2.0)」を発表した。
この開発プラットフォームによって、ウェアラブル端末や医療機器を手掛ける企業は、健康状態を管理するためのアプリやソリューションを迅速に開発、検証できるようになる。
HSP2.0は、心電図や心拍数、体温を計測するマキシムのセンサーを、ウェアラブル端末の腕時計部分に収めた。心電図も手首から測定可能だ。開発プラットフォームに搭載したセンサーはいずれも臨床規格に対応している。また、Armが提供するIoT(モノのインターネット)プラットフォーム「mbed」にも対応する。
HSP2.0はハードウェアとファームウェアファイルで構成されており、価格は399ドル(約4万5000円)となる。
マキシム製品をモジュール化
ヘルスケア向けのウェアラブル端末は、2021年に1億台まで市場成長が見込まれる。増大が続く医療費の抑制を背景に、日常的に身に着けられるウェアラブル端末によって病気の予防や早期発見、慢性疾患の監視といった用途で需要が拡大する見通しだ。
HSP2.0には、光パルスオキシメーターと心拍センサー(製品名MAX86141)、シングルチャネル集積型生体電位・生体インピーダンスアナログフロントエンドデバイス(製品名MAX30001)、ウェアラブルやIoT向けのMCU(製品名MAX32630)、パワーマネジメントソリューション(製品名MAX20303)、体温センサー(製品名MAX30205)、心拍数アルゴリズム内蔵のセンサーハブ(製品名MAX32664)を搭載している。測定値を表示するディスプレイも含めてモジュール化した。プラットフォームに拡張性を持たせたことにより、今後発表する新しいセンサーにも迅速に対応できるようにした。
開発プラットフォーム自体は医療機器としての認可は受けていないが、医療機器での要求を理解した上で開発されている。医療機器だけでなく、コンシューマー向けの健康管理ソリューションの開発に用いることができるという。ソリューションの開発に要する期間を最大で6カ月短縮するとともに、開発コストも大幅に削減する。
これまで腕時計型ウェアラブル端末で心電図を測定するのは難しかったが、HSP2.0では、「アナログ半導体のフロントエンドのイノベーションによって、手首でインピーダンスを高く得られるようにした。胸にウェット電極を貼り付ける場合と同じ精度を確保している」(マキシム インダストリアル&ヘルスケア製品事業部 マネージングディレクターのアンドリュー・ベイカー氏)という。HSP2.0は肌に接触する面に2つの電極と、心拍数を測定するためのLEDを配置している。
HSP2.0で取得した生体情報はマキシムで所有しない。プラットフォームの購入者が、ユースケースやクラウド活用の検証、独自に開発したアルゴリズムの評価を自由に行えるようにした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ウェアラブル機器の生体センシング、臨床レベルの精度と小型省電力の要求高まる
Maxim Integrated Products(マキシム)は、ヘルスケア用途のウェアラブル機器向けに心拍数や脈拍、呼吸数を測定するセンサーの新製品「MAX86140/MAX86141」「MAX30001」を発表した。 - フィットネスアプリ向けのウェアラブル評価・開発プラットフォームを発表
Maxim Integrated Productsは、ウェアラブル設計者がバイタルサイン、生データを簡単に抽出できる「MAX-HEALTH-BAND」と、心電図(ECG)や心拍数を監視できる「MAX-ECG-MONITOR」を発表した。 - Armが考えるIoTの3つの課題とは、「Mbed」で可能性を広げていく
ArmのIoTサービスグループ プレジデントのディペッシュ・パテル氏が来日。パテル氏は「2025年に11兆米ドルもの市場規模になるといわれているIoTだが、『デバイスの多様性』『エンドツーエンドセキュリティ』『データの適切な利用』の3つが課題になる。Mbedを中心としたソリューションにより、IoTの可能性を広げていく」と語った。 - ARMが「mbed OS」で伝えたいメッセージ
英ARMは2014年10月1〜3日の3日間、同社の取り組みを紹介するカンファレンス「ARM TechCon 2014」を開催した。内容は多岐に渡るが、ここでは「mbed OS」「TSMCとの10nmプロセス協業」などのトピックを紹介したい。 - スマートウォッチの差別化は薬事法・FDA対応に、手首式血圧計を2018年発売
オムロン ヘルスケアは、消費者向けエレクトロニクス展示会「CES 2018」において、手首で測定するスマートウォッチ型の血圧計を出展する。 - 仮想センサー「NAONA」は「Mbed」でデバイス管理、2018年内に実用化目指す
村田製作所は、「第7回 IoT/M2M展 春」(2018年5月9〜11日、東京ビッグサイト)において、仮想センサープラットフォーム「NAONA」向けのハードウェアソリューションを披露した。